「ウォンツとニーズはどう違うの?」
「ウォンツをBtoBマーケティングに活かす方法を知りたい」
このようにお考えのBtoBマーケティング担当者もいるのではないでしょうか?
BtoBでマーケティングに取り組んでいると、「ニーズ」「ウォンツ」は、よく聞く言葉です。日本語では、どちらも「欲求」と訳されることから、違いを正確に把握していない人は少なくありません。また、BtoBにおいては、一般的には「ニーズ」が重要視される傾向にあり、「ウォンツ」を活用したくても方法がわからない人も多いようです。
そこで本記事では、ニーズとウォンツの違いを明確にした上で、BtoBにおける「ウォンツ」をとらえたマーケティング施策を紹介します。顧客のウォンツをマーケティングに活用し、他社との差別化を図りましょう。
目次
「ニーズ」と「ウォンツ」の違い
BtoBマーケティングにおいて、重要な概念である「ニーズ」と「ウォンツ」の違いを、まずは把握しておきましょう。
「ニーズ」とは、「サービスやプロダクトを使用することで、目指したい姿」を指します。対して、「ウォンツ」は、「サービスやプロダクトそのものを手に入れたい。という願望」のことです。目的と手段でいうと、「ニーズ=目的」「ウォンツ=手段」に該当します。
わかりやすく、「メール配信ツールを導入したいマーケティング担当者」を例に考えてみましょう。
この担当者は、メールマーケティングにかかっている手間を減らす目的で、メール配信ツールを導入して自動化しようと考えています。「メールマーケティングにかかっている手間を減らす」というニーズ(=目的)を満たすためには、メール配信ツールを導入しなくても、作業手順を見直すなど、複数の手段が想定されます。しかし、この担当者は、課題を解決するためのウォンツ(=手段)として、「メール配信ツール」を選び、求めている状態にあるのです。
このように「ニーズ」と「ウォンツ」は、似ていますが本質は異なります。BtoBマーケティングにおいては、顧客のニーズを的確に把握した上で、複数ある手段の中から、自社の商品やサービスをウォンツとして選んでもらうことを目指す取り組みが求められます。
顧客はまず、「ウォンツ」を思い浮かべる
一般的に、BtoBの顧客はまず、「人気の人事評価システムが知りたい」「Web広告を出稿したい」といった「ウォンツ」を思い浮かべます。
実際、Googleなどの検索窓に打ち込まれるキーワードは、ニーズではなく、ウォンツを表す言葉であることがほとんどです。しかし、前章でも述べたように「ウォンツ」はあくまで手段であり、BtoBマーケティング担当者は、顧客がそれによって何を達成したいのか「ニーズ=目的」もセットで考える必要があります。
<検索キーワードとニーズの例>
- 「人事評価システム 比較」(人事評価システム選びで失敗したくない)
- 「電子契約システム 選び方」(電子契約システム選びで失敗したくない)
- 「〇〇 評判」(〇〇を導入して失敗しないだろうか)
BtoBマーケティングでは、顧客の「ウォンツ(手段)」から、本当に達成したい「ニーズ(目的)」を考えることで、提案の選択肢を増やせるのです。
BtoBマーケティングで重視するのは、「ニーズ」と「ウォンツ」のどっち?
BtoBマーケティングでは、顧客の「ウォンツ(手段)」から「ニーズ(目的)」をとらえて施策を立てるのが一般的です。BtoB企業では、複数人により経済合理性の観点から購買を検討することが多いので、ニーズに合致する製品・プロダクトを選定し、提案する必要があるためです。
しかし、テクノロジーが発達した現代では、プロダクト・サービスで差別化することは難しく、機能や価格は似たり寄ったりになりました。そのため顧客は、どのプロダクト・サービスを導入しても一定の効果を得られる。つまり、ニーズを満たせる状態にあります。
このように、差別化が困難な時代背景においては、顧客のニーズを理解した上で、あえてウォンツ(手段=願望)をとらえて施策を立てることも、マーケティングを優位に進めるために重要な場合が多くあります。顧客のウォンツを正確にとらえるためには、ターゲットとなる顧客のペルソナを明確化しておくことも求められます。
ウォンツをとらえたBtoBマーケティングの例
ここからは、顧客のウォンツをとらえたBtoBマーケティングの例を3つ紹介します。
1.顧客に好かれるブランド構築
ブランド構築・保持といった取り組みは、「この会社が好き」「会社の理念に共感した」といった顧客の「ブランド」に対するウォンツをとらえるのに有効です。現状のシステムやサービスでニーズは満たされていたとしても、評判やブランドイメージなどで、ほかのシステムやサービスを検討することは、BtoBにおいても珍しくはないためです。
具体的な施策としては、TVCMの出稿やインフルエンサーとのタイアップ、代表や事業責任者のメディア出演などを検討すると良いでしょう。
2.業種を絞ったサービス・プロダクト展開
BtoBでサービス・プロダクトを展開するときに、業種をある程度絞ることも、顧客のウォンツをとらえる方法の1つです。
業種を絞り込むと、その市場での認知度が高まり、サービスやプロダクトを浸透させやすくなります。多くの企業に採用されるようになると、顧客は「競合のA社もB社も使っているなら、我が社も導入したい」という感情を持つ可能性が高くなります。
つまり、顧客の「業界内で取り残されたくない」というウォンツを利用できるようになるのです。
3.CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上
CXを向上させることも、顧客のウォンツをとらえるのに効果があります。
近年、BtoBにおいても情報収集がデジタル化したことにより、CXの必要性が声高に叫ばれるようになりました。プロダクト・サービスでの差別化が難しくなったこともあわせて考えると、CXを向上させることが、今後、BtoB企業の差別化戦略の柱にすら、なり得るでしょう。
情報収集プロセスで、顧客に常に良い体験を提供できていると、「〇〇社は、いつも良い情報を提供してくれる」と信頼を得られ、比較検討の段階で土台にあげてもらえる可能性が高くなります。「似たようなサービスなら、より良いCXを得られるものを選びたい」という顧客のウォンツをとらえられるのです。
BtoB企業におけるCXについては、「BtoB企業にCXが必要な理由とは?CXの向上に取り組む方法も紹介」をご覧ください。
まとめ
ニーズが目的とすると、ウォンツは手段であり、両者は似ているようで、違うものです。一般的にBtoBマーケティングでは、「ウォンツよりニーズが重要」とされていますが、BtoBにおいても、ウォンツを考慮すべき局面も決して少なくありません。
特に、プロダクトやサービスでの差別化が難しいケースでは、顧客の感情を考慮したウォンツをとらえたBtoBマーケティング施策が有効な場合もあります。
しかし、実際にウォンツをとらえたマーケティングを行おうと考えても、ノウハウが不足していて取り組めない企業も多いのではないでしょうか。
メディックスは、長年にわたってBtoBに特化した支援を行ってきたことから、BtoBマーケティングのノウハウを保有しています。 Web広告などの集客施策はもちろん、本記事で紹介した、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上に取り組むための、カスタマージャーニーマップの制作や MAツールの導入・運用支援も行っています。
BtoBマーケティングの改善に課題をお持ちでしたら、お気軽にお問い合わせください。