BtoBとは「Business to Business」の略で、企業が企業に対してサービスや商品を提供するビジネス形態のことを指します。一方で、BtoCとは「Business to Consumer」の略で、企業が一般消費者に対してサービスや商品を提供するビジネス形態のことです。
マーケティングを行う場合、BtoBとBtoCでは、顧客対象が変わることから、戦略に違いを出す必要があります。そのため、マーケティング担当者の中には、次のような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか?
「BtoBとBtoCには、具体的にどのような違いがあるのか?」
「BtoBマーケティングで効果を出す手法を知りたい」
本記事では、上記のように疑問になりやすいBtoBとBtoCにおける違いや共通点、効果的なマーケティング手法などについて、詳しく解説します。
目次
BtoBとBtoCの大きな違い
まずは、BtoBとBtoCの大きな違いを確認しましょう。
■BtoBとBtoCの傾向の違い
BtoB | BtoC | |
検討期間 |
長い |
比較的短い |
検討ポイント | 投資対効果を優先 | 感情を優先 |
商材単価 | 高い | 安い |
購買関与者 |
複数 |
基本的に個人 |
- 一般的には上記のような傾向の違いがありまず。各項目の違いを理解しなければ、BtoBに効果的なマーケティング手法を検討することができません。
次に、各項目の具体的な違いを解説します。
1.検討期間
BtoBとBtoCでは、検討期間の長さが違います。BtoCでは、家や車を除いて商品やサービス購買までの検討期間は比較的短いのですが、BtoBでは、検討期間が長い傾向にあるのが特長です。
検討される商品やサービスによっても違いはあります。BtoBの場合、検討期間の目安は1年~2年で、長ければ検討開始から購買決定までに3年以上の年数が必要になることもあります。
なぜ、ここまで検討期間が長期化するのかというと、企業はサービスや商品を購買するまでに、課題の明確化や、購買予算の確保が必要になるためです。
また、BtoBはBtoCと違い、購買意思が組織的に決定されるのも1つの理由として挙げられます。購買者や決裁者、使用者がそれぞれ違うケースが多いため、情報収集から意思決定までに多くのプロセスを踏まなければならず、検討開始から購買決定までに長い時間がかかってしまうのです。
2.検討ポイント
検討ポイントでもBtoCとBtoBには違いがあります。BtoCは、「きれいになれる」や「承認欲求を満たせる」などの感情的な欲求を優先して購買を決定するのに対し、BtoBの検討ポイントでは、投資対効果が合うかどうかを重視します。
例えば、企業が業務管理システムの導入を検討する場合、はじめに明確化するのは初期費用や運用コストなどの合計費用です。出ていく費用を明確にし、それよりも大きなリターンを得られるか検討した上で、利益のほうが大きいと判断できれば導入を決定します。
3.商材単価
BtoBの商品は、BtoCに比べると高額です。企業向けの商品やサービスは、高機能であり専門性が高いものが多くあります。また、企業は、一般消費者に比べると動かせる金額も大きく、投資対効果に見合っていれば投資を惜しみません。
一方、BtoC向けの商品やサービスは、商材単価が安い傾向にあります。企業向けの商品やサービスに比べると汎用的な機能の商品やサービスが多く、多くの人に届けるのを前提にした商品つくりが一般的です。
4.購買関与者
BtoBの多くは、購買者や決裁者、使用者がイコールではありませんが、BtoCは、購買者と決裁者が同じである場合が大半です。
例えば、企業の購買関与者は、購買のプロセスに関わる「担当者」や、予算や決裁などの最終承認を行う「意思決定者」、利用する部署の「代表者」などが購買関与者として挙げられます。個人ではなく組織で購買の意思決定をしていくのが特長です。
メディックスが2019年に実施した「IT製品選定者アンケート調査」でも、製品やサービスの発注・購買までの意思決定に関与する人は、従業員101名以上の会社で「4人以上が関与する」という結果が出ています。IT製品選定者だけではなく、製造業製品選定者を対象にしたアンケートでも結果は同じです。大半の企業では、商品やサービスの購買関与者が複数人いると考えられます。
BtoBとBtoCにおけるマーケティング手法の共通点
BtoBとBtoCでは、検討期間や商品価格などの各項目に違いがある一方で、「顧客にとって必要な情報を、適切なタイミングで適切な手段(媒体)により伝える」ことの重要性は共通しています。
テクノロジーの大幅な進化により、潜在顧客が、新しい情報や知りたい情報をインターネット上から獲得することが容易になりました。顧客自らがインターネット上で情報収集を行うことは、もはや当たり前となっています。この流れは、BtoBもBtoCも同じです。
そして、近年は潜在顧客に自社商品やサービスを見つけてもらうインバウンドマーケティングを実践する企業が増えてきています。
ブログやSNS、動画など様々な媒体を使って情報を発信するインバウンドマーケティングは、「顧客が必要な情報を、適切なタイミングで、適切な手段により伝える」ことの実現に欠かせません。
BtoBマーケティングにおいて効果的な手法
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、潜在顧客に自社商品やサービスを見つけてもらうインバウンドマーケティングが有効であることがわかりました。
しかし、「BtoBとBtoCの大きな違い」の項でも述べたように、検討期間や購買関与者などが両者で違うことから、実際に取るべき具体的な手法はBtoBマーケティングとBtoCマーケティングで異なります。BtoBマーケティングでは、BtoBに向いたインバウンドマーケティングに取り組むことが重要です。
■BtoBマーケティングにおいて効果的な手法
BtoBマーケティングでは、商品やサービスの購買までの検討期間が長いことから、リード(見込み顧客)に対して中長期的に信頼関係を作り上げていく「リードナーチャリング」が欠かせません。具体的な手法としては、コラムやE-bookなどのナーチャリングコンテンツの作成、メールやセミナー、インサイドセールスなどによるフォローアップが挙げられます。
また、 BtoBでは購買者と決裁者が異なることから、購買者が決裁者に合理的な情報を示すことを見越した戦略も練る必要があります。具体的な例として挙げられるのは、製品パンフレットの作成や導入事例と実績の提示、料金プランページの充実などです。
複数の関係者が集まって意思決定をするBtoBでは、関係者全員が納得できる合理的な情報が必要なのです。
■マーケティングオートメーションツールの活用で効率化
これまでの内容でもお気づきのとおり、インバウンドマーケティングは、複数の手法を組み合わせています。場合によっては、インサイドセールスなど他部門との連携も必要です。
そこで、マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを活用する企業も増えています。
MAツールを導入することで、顧客の行動履歴に合わせたコンテンツ配信を自動化し、マーケティング業務を効率化することができます。特に、見込み顧客の育成が長期化する傾向にあるBtoBでは、MAツールの導入は有効です。
まとめ
本記事では、BtoBとBtoCの違いや、共通点などについて解説しました。BtoBには、購買までの検討期間が長かったり、購買者と決裁者が違ったりといったBtoCとは違う特長があります。
そのため、BtoBとBtoCの具体的なマーケティング手法は異なりますが、「顧客にとって必要な情報を、適切なタイミングで、適切な手段(媒体)により伝える」ということは共通しています。そして、ここで有効なマーケティング手法が、インバウンドマーケティングです。また、MAツールを組み合わせることで、より効率的にインバウンドマーケティングを行い、マーケティング業務の生産性を上げることにつながるでしょう。
BtoBビジネスへの理解とデジタルマーケティング支援の実績があるメディックスでは、ナーチャリングコンテンツ制作から、MAツールの導入・運用支援、シナリオ設計など、必要に応じた支援が可能です。
そのほか、Web広告などの集客施策、サイト制作や解析など、クライアントの成長フェーズに応じて適切なソリューションを提供できる、様々なサービスを用意しています。
BtoBマーケティングの改善に課題をお持ちでしたら、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。