購買プロセスにしたがって顧客の状況や行動・思考を可視化できるカスタマージャーニーマップ。コンテンツマーケティングの一環として作成する企業も多くなっています。
しかし、せっかくのカスタマージャーニーマップも、作り上げたことに満足してしまい、その後“活用”しないままでは成果につながりません。
そこで、今回はコンテンツマーケティングの成果を高めるカスタマージャーニーマップの活用術を解説します。
カスタマージャーニーマップ 2つの活用術
コンテンツマーケティングでの成果は、提供するコンテンツの質により大きく左右されます。質の高いコンテンツとは、購買プロセスにおいて顧客を次のプロセスに引き上げることのできる、すなわち態度変容につながるコンテンツです。
そして、コンテンツの質を高める上でカスタマージャーニーマップが大きな役割を果たします。例えば、次のような形で活用すればコンテンツの質の向上につながるでしょう。
1.コンテンツマップの作成
カスタマージャーニーマップは、顧客行動などの可視化によって最終的な成約につなげるボトルネックを発見するためのツールとして理解されています。しかし、それだけではありません。実は、質の高いコンテンツを作成する上でも役立つことをご存知でしょうか?
コンテンツ作成というと、ペルソナ設計を思い浮かべる方も多いはず。確かに、ペルソナを明確にすることで、獲得したい顧客が関心を持ちそうなコンテンツを見い出せます。
しかし、単にペルソナという括りで作成したコンテンツは、各購買プロセスと紐づいていないので態度変容につながらないおそれがあります。また、仮に態度変容を期待できるとしても、特定のフェーズでの態度変容につながるコンテンツばかりが作成されているといった結果になりかねません。
これらの問題を解決するのが、カスタマージャーニーマップを活用したコンテンツマップの作成です。カスタマージャーニーマップの作成を通して明らかになった、ペルソナのフェーズごとの情報ニーズに応えられるコンテンツを記載しましょう。さらに、コンテンツ閲覧後の態度変容を記載する枠を用意することで、「期待する態度変容につながるコンテンツになっているか?」「訴求したい内容に抜け漏れがないか?」を確認でき、より効果的なコンテンツの抽出が可能になります。
※弊社で使用しているコンテンツマップのフレームの一例。
※業界・業種、商材などの違いによって適切なフレームは異なる。また、コンテンツを掲載する媒体やフォーマットを記載する枠を用意する場合もある。
このように、カスタマージャーニーマップを活用してコンテンツを抽出することで、各フェーズでの態度変容につながるコンテンツを作成できます。
2.CTAやKPIの設定
顧客の態度変容を促すには、次の行動に誘導するためのCTA(Call to Action)、その効果を計測するためのKPI(重要評価指標)の設置も重要です。
CTAとは、見込み顧客が企業側の意図した行動をとるように誘導することで、具体的には、資料ダウンロードやトライアル申し込みへの誘導が該当します。CTAは、購買プロセスにおける態度変容、つまり、次のプロセスへの移行を促すことが目的ですから、各プロセスの間に設置する必要があります。
ここでもカスタマージャーニーマップが活用できます。先ほど作成したコンテンツマップの下に、CTAを記載する枠を用意することで、「どこに、どのような、CTAを設置すべきなのか?」が明確にできます。また、「CTAのクリックにつながるコンテンツが用意できているか?」をチェックすることもでき、コンテンツマップの精度を高めることができます。
さらに、CTAの設置はコンテンツマーケティングの効果測定にもつながります。設置したCTAを定量的に計測できる指標にしたものがKPI(重要評価指標)です。具体的には、資料ダウンロード数やクリック数などがKPIとして設定されます。
既存コンテンツがサイトの評価を下げている!?
前項で解説したようにカスタマージャーニーマップを活用することで、コンテンツマーケティングの成果を高めることができるでしょう。一方で、注意しなければならないことがあります。それは、既存コンテンツのメンテナンスです。
既存のコンテンツの中には、古い情報や(当時は正しいとされていたものの今日では)誤っている情報などが混じっている可能性があります。また、複数のコンテンツ間で内容が重複していることも…。このような状況は、SEO上の低評価につながるおそれがあることはもちろん、サイト訪問者に対してもマイナスな印象を与えかねません。
そのため、次のような方法でコンテンツをメンテナンスしましょう。
■コンテンツオーディット
コンテンツオーディットとは、一定の基準にもとづいてコンテンツを評価することを言います。手順は次のとおりです。
まず、すべてのコンテンツの棚卸を行い、各コンテンツのパフォーマンス、すなわちKPIが達成しているのかを評価します。つづいて、顧客の立場から、理解しやすさ、読みやすさを評価します。
そのうえで、評価の低かったコンテンツについては加筆修正したり、削除したりといった形で対応しましょう。
■ギャップ分析
ギャップ分析とは、理想と現実の差異を分析し、理想を達成するための課題を抽出する手法のことです。経営目標の達成などを目指し企業経営において用いられています。
既存コンテンツのメンテナンスにおいても、ギャップ分析が有用です。コンテンツマップの作成では、あるペルソナが、カスタマージャーニーマップのあるプロセスにいるときに提供すべきコンテンツを可視化しました。ペルソナのフェーズごとに必要なコンテンツをまとめたコンテンツマップと既存のコンテンツを比較し、そのギャップを分析します。
この分析によって、新しいコンテンツの設置場所や、既存コンテンツをどのように改善していくかという課題が明確になることでしょう。
まとめ
今回ご紹介したように、コンテンツマーケティングではカスタマージャーニーマップを活用することでコンテンツの質を高めることができます。そして、新規コンテンツ作成ばかりに気を取られるのではなく、既存コンテンツをメンテナンスすることも欠かせません。既存コンテンツを定期的にメンテナンスをすることで、各コンテンツのパフォーマンス向上が期待できます。そして、それはコンテンツマーケティングの成果につながります。