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【セミナーレポート】顧客との関係性を深めるカスタマーサクセスとは?~コミュニティタッチ徹底解説~

May 30, 2024 5:18:55 PM

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BtoB企業向けマーケティング支援を事業の柱の1つとしている株式会社メディックスは、コミューン株式会社をゲストに招き、オンラインセミナー「顧客との関係性を深めるカスタマーサクセスとは?~コミュニティタッチ徹底解説~」を2024年3月13日(水)に開催しました。セミナーの一部を抜粋したレポートをお届けします。

国内SaaS市場は、年々右肩上がりで成長すると同時に、参入プレイヤーも増加傾向にあります。
競争環境が激化すればするほど、新規顧客の獲得難易度は高くなり、CACは上昇していきます。
新規顧客の獲得コストが下がりづらい状況にある中で、既存顧客をサクセスに導く、カスタマーサクセスの重要性が以前に比べて増しているといっても過言ではありません。
今回のオンラインセミナーでは、カスタマーサクセスの新たな一手である、顧客との関係性を深める「コミュニティタッチ」について解説します。

目次

重要性を増すカスタマーサクセス

 

【講演者情報】

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BtoBマーケティングがデジタルへシフトし、新規顧客を獲得するための施策が盛んに行われるにつれ、その「難易度」や「獲得に必要なコスト」は高まりをみせています。
このような状況において、新規顧客の獲得と同じように、既存顧客の維持拡大に注目したカスタマーサクセスの重要性は年々増しているといっても過言ではないでしょう。

<図1>は、ハーバード・ビジネス・レビューが295人の経営幹部を対象にしたグローバル調査です。
デジタルプロダクトの成功においては、新規ユーザの獲得よりもユーザエンゲージメントをはじめとした「既存顧客」に意識が向いていることがわかります。

<図1:デジタルプロダクトの長期的な成功>※クリックで拡大表示できます

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また、新規顧客の獲得は既存顧客の維持に比べて、「5倍から25倍のコストがかかる可能性がある」と本調査では述べられています。実際に、BtoBビジネスでのCAC(顧客獲得コスト)を下げることは容易なことではなく、むしろ高騰を辿っていることはマーケティングに従事している方であれば、肌感覚として感じている部分ではないでしょうか。


イメージをしやすくするため、<図2>で簡易的に計算をしてみます。
リスティング広告で、指名ワードのキャンペーンからCPA15,000円で獲得し、そのうち20%が受注に至ったケース(人件費などは仮置き)でのCAC(顧客獲得コスト)は「175,000円」となります。


実際には、マーケティング部門やインサイドセールス部門などの人件費や他チャネルでの広告宣伝費、競合の増加によるマーケティングコストの高騰、ベンダサービスの値上げなどの外部要因も相まって、さらに高くなることは想像に難くありません。

 

<図2BtoBにおけるCAC低下は難易度が高い>※クリックで拡大表示できます

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このように、新規顧客獲得にかかるコストは高騰し、競合の増加によって難易度も高まります。
新規顧客の獲得だけに目を向けるのではなく、組織全体で既存顧客の維持・拡大に注目し、ビジネスの持続的な成長を実現していくべきと考えます。

具体的には、「LTVが高い状態を作り出し、許容CACを引き上げる」ことが重要です。
許容CACが低い状況だと、新規顧客獲得のために実行できるマーケティング施策が限られてしまいます。
新規顧客獲得のためには、一定以上のコストが必要ですから、その土台となるLTVの規模が重要です。

SaaSビジネスの組織は、The Model型が一般的ですが、部分最適のKPIで運用するのではなく、組織間で連携を取りながら、本来遠い位置にある組織が連携し、この課題に向き合っていくべきだと考えます。

次章で紹介するコミュニティ施策は、単にユーザコミュニティを創ることが目的ではありません。
ユーザからの適切なFBを得ながら、組織全体でカスタマーサクセスに取り組むプラットフォームとして機能するものになるでしょう。

 

<図3:カスタマーサクセスに組織全体で目を向ける>※クリックで拡大表示できます

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顧客との関係性を深め、カスタマーサクセスを実現するコミュニティタッチとは?

 

【講演者情報】

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これからのカスタマーサクセス


本パートでは本題である「コミュニティタッチ」について解説していきます。

 

前段として「これからのカスタマーサクセス」について触れたいと思います。
これまでのカスタマーサクセス活動は、「課題が発生してから対処する」といった事後対応に追われるケースが多いかと考えています。もちろん、事後対応は非常に大事なことですが、これからは攻めの姿勢も重要になります。例えば、既存顧客の満足度やエンゲージメントの向上、解約のリスクマネジメント、アップセル・クロスセルなど、売上の最大化を目指すために重要なミッションになってきています。コミュニティを活用したカスタマーサクセスでは、<図4>の赤枠部分について貢献をします。

<図4:攻めのカスタマーサクセス>※クリックで拡大表示できます

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では、コミュニティを導入すれば全部うまくいくのかというと、そうではありません。攻めのカスタマーサクセスを実現していくためには<図5>にあるように、ハイタッチからコミュニティタッチを含めた4つのタッチを確立することを推奨しています。この4つのタッチを実現することによって、利活用促進のボトルネックを効率的に解消していくことが可能になると考えます。

<図5:カスタマーサクセス4つのタッチ>※クリックで拡大表示できます

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BtoB企業におけるコミュニティの価値

 

BtoB企業においてのコミュニティの価値について解説したいと思います。
海外のソフトウェア企業の事例では、コミュニティがCRMの中核として機能しており、事業の全方位に貢献するモデルがトレンドになっています。事業の全方位になりますので、カスタマーサクセスだけではなく、マーケティング、プロダクト、セールスといった様々な部署で重要な資産になるということです。


コミュニティ内のユーザ同士で交換がされるノウハウ、ユーザの意見、興味関心を資産として活用し、ユーザの興味関心や課題を元に、マーケティング施策を検討していく。あるいは、それをセールスの中で、ユーザのリアルな体験談を事例として活用するなど、コミュニティをカスタマーサクセスだけで持っているのではなく、各部門でミュニティ資産を活用していくことが、トレンドになってきています。

<図6:コミュニティは事業の全方位に貢献する>※クリックで拡大表示できます

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ただし、コミュニティは「何となくいいもの」ではなく、明確にROIを示していくことが重要です。
例えば、新規獲得のROI提示はイメージがしづらいかもしれませんが、コミュニティでのエンゲージメントを高めたことによって、ユーザからほかのユーザへの紹介が生まれる、あるいは、商談に同席してもらい、体験を語ることで受注率を高めるなど、さまざまな成果を出すことが可能と考えます。

 

<図7:コミュニティは明確なROIを示すことが可能>※クリックで拡大表示できます

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コミュニティとカスタマーサクセス活動

 

ここからは具体的に、どうコミュニティを活用するのが良いか、どう攻めのカスタマーサクセスに転換していくのか、を解説します。まずは、コミュニティを通しての知見の共有が重要です。ユーザが持っている知見やノウハウは、すべてユーザに還元できているかというと、そうではないことが多いと考えています。私たちカスタマーサクセスがユーザから直接聞いている情報は、実はかなり表層化したもののみになっていて、<図8>のように、その裏には検知できない膨大な情報が隠れていることが往々にしてあると考えています。

<図8:コミュニティを通した知見の共有>※クリックで拡大表示できます

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また、その隠れたナレッジをカスタマーサクセスが把握できたとしても、その把握できた個人が持っていることによって、情報流通のボトルネックになってしまうということも多々あると思います。

ユーザ同士で課題解決に向けた相談や事例共有をできるようにすることにより、これまで表出しなかった知見やノウハウが、しっかりと見える形でシェアされて、新たにユーザに還元できることが、コミュニティに取り組むことによってできる知見の共有だと考えます。

加えて、ユーザの声は非常に重要です。一例ですが、コミュニティ内で開発機能に関する意見や要望を収集することも盛んにおこなわれています。こうした活用を通して、ユーザニーズに合った開発や施策を検討していくことが可能になります。

さらに、データの活用も重要な要素です。
サービスの利用状況を取得している企業様も増えていると思いますが、プロダクトの利活用データのみだと、ユーザ行動の全容を追いきれないケースもあるのではないでしょうか。


<図9>のように、コミュニティのデータ(ログイン情報や投稿情報)を付与することによって、導入と利用の間や、利用に至る前の行動といったサービス外での情報を収集することで、ユーザに対する理解度を高めていくことができます。

<図9:サービス利用状況の把握>※クリックで拡大表示できます

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誰がアクティブで、どのコンテンツを閲覧しているのか、をスコアリングをしていくことによって、リスク検知にも活用することができます。例えば、活発でないユーザをリスクとして検知をし、状況を確認することで、セミナーへの誘導やフォローアップメールの配信などの施策を打つことができます。
同様に、ユーザの興味関心をデータ分析によって把握することで、よりハイタッチでのカスタマーサクセスの品質を高めていくなど、コミュニティを起点として、さらに進んだ攻めのカスタマーサクセスになっていくと考えています。

<図10:コミュニティのデータ活用>※クリックで拡大表示できます

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まとめ

 

ここまで解説したように、BtoB SaaS 企業におけるカスタマーサクセスの重要性は年々高まっています。
今回、コミューン株式会社をお招きし、オンラインセミナーで取り上げたコミュニティタッチは、攻めのカスタマーサクセスを実現する有効な手段になります。
BtoB SaaS での活用事例も豊富にありますので、ご興味のある方は、ぜひ、ご相談ください。

 

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※本記事は2024年3月13日に開催された「顧客との関係性を深めるカスタマーサクセスとは?~コミュニティタッチ徹底解説~」の講演内容を要約したものです。
※記載内容は、当時の情報を元にしておりますので、予めご了承ください。また、登壇者の肩書などはセミナー当時のものとなります。

 

Tag: SaaS マーケティング


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メディックスBtoBマーケティング編集部

デジタルマーケティングの基本的な考え方や最新情報、実践的なノウハウを探している、BtoBマーケティング担当者向けに、日々のマーケティング業務のプラスになるお役立ち情報を厳選して発信しています。

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