Webマーケティングの手法が多様化する昨今、従来のリスティング広告に加えてFacebook広告などSNS広告の運用を開始するBtoB企業が増加しています。
一方で、「すでにFacebook広告を活用しているが、さらなる効果改善を目指したい」という企業の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、Facebookリード獲得広告を利用し、コンバージョン率(以下、CVR)を向上させたIT企業A社(以下、A社)の事例を紹介します。
目次
BtoBの広告配信で効果的なのは「リスティング広告」?それとも「SNS広告」?
リスティング広告は、自ら検索して情報を探している顕在層へのアプローチに向いており、コンバージョン(以下、CV)1件を獲得するための単価、いわゆる顧客獲得単価(以下、CPA) が安価に収まりやすいという利点があります。
一方、SNS広告の場合、興味関心やユーザ属性を用いたターゲティングの多様さに関しては、リスティング広告を上回るメリットがあるものの、アピールの対象となるユーザ層は、主に潜在顧客になるため、リスティング広告と比較すると、どうしてもCVRが低くCPAが高い傾向があるという欠点があります。
しかしBtoBにおいては、そもそものターゲットユーザがその業務担当者だけで母数が少なく、かつシステムやサービス導入までのプロセスが複雑でハードルが高いという背景から、強い導入意欲をもって検索行動をとる顕在層ユーザの数が限られています。そのため、まだ検索行動を取らないまでも、今後検討の可能性のある潜在顧客にアプローチしておくことが重要で、その点ではSNS広告は有効だと言えます。
【概要】目標は、Facebook広告のコンバージョン単価を下げること
A社は、採用支援サービスの開発・運営を行うIT企業です。同社では、以前からリスティング広告と併せてFacebook広告も活用していました。Facebook広告は、実名登録制のためターゲティング精度が高く、ユーザは就労世代が中心のため、可処分所得が多く、ほかのSNS広告と比べてCVRが高い傾向があります。
A社では、Facebook広告で以前から、リターゲティング配信(過去にサイトを閲覧した人に向けた広告配信)をはじめ興味関心配信、類似配信、アドレサブル広告(ユーザを特定した広告配信)など様々なターゲティングで配信テストを実施していました。サイトからの離脱を防ぐため、リンク先には見込み顧客の課題解決につながるような事例集やガイドブックのダウンロードコーナーを設置し、自社サービスに興味を持ったユーザがアクションを起こせるような戦略もとっていました。
同社では、Facebook広告のCPA自体には満足していましたが、より費用対効果を高めたかたちでのリード獲得を目標とし、メディックスの担当者とミーティングを重ねた上で、様々な配信手法を試したり、クリエイティブの改善を繰り返したりしました。
そして、それらの改善を続けながら、より根本的にCVR・CPAを改善する方法として、2つの方法を考えました。まず1つ目は、「サイト上のフォームを改修する」ということ。2つ目は、「Facebookリード獲得広告を利用する」ことです。
1つ目の、サイト上のフォームの改修は、A社側に新規フォームの制作費の負担が発生します。一方で、Facebookリード獲得広告はコストをかけずに、CVR改善が狙えます。
2つ目の、Facebookリード獲得広告を継続的に利用する場合、獲得したリード情報をマーケティングオートメーション(以下、MA)に連携することが推奨されています。幸いA社には、MAに詳しい方が在籍していたため、MAへのリード連携設定がスムーズに行くと予想し、CVRの底上げにつながる施策として、メディックス側からFacebookリード獲得広告の提案を行いました。
(補足)Facebookリード獲得広告の機能とは?
Facebookリード獲得広告は、Facebook上でリード獲得用のフォームを無料で作成し、Facebook上でCV完了までできる広告です。課金体系は、広告表示1,000回に対して課金されるCPM課金。ユーザ申し込み情報は、管理画面からFacebookアカウント管理者がダウンロードして取得することができます。また、顧客管理システム(CRMツール)やMAツールと連携させることで、取得したリードに対するメール配信も可能になります。
そして、Facebookリード獲得広告を使うメリットとしては、次の3つが挙げられます。
1.サイト遷移の時間短縮により、サイトからの離脱を防止
企業のWebサイトなどFacebook以外のサイトへ遷移させるのではなく、Facebook内のフォームに遷移させるだけなので、遷移の速度が上がり、結果としてCVRの向上につながるという利点があります。
2.Facebook登録情報の自動入力により、ユーザ側の入力の手間を削減
フォーム上で取得したい情報を、ユーザが事前にFacebookに登録している場合、ユーザ側での入力の手間を省くことができます。しかし、BtoBの場合には、会社の電話番号やメールアドレスといった情報を、ユーザがFacebookに登録していないことも考えられます。このような場合には、自動入力を使用することはできません。
3.任意項目の設定により、より詳細な情報の取得が可能
Facebookリード獲得広告では、フォームに任意の質問項目を設定することができます。例えば、任意の質問項目として「会社の従業員人数」などを設定することで、法人の規模感を知ることができ、リードの質を判断する際に役立てることも可能です。
■Facebookリード獲得広告を使う3つのメリット
【施策】Facebookリード獲得広告を活用し、CVRは2倍、CPAは7割にダウン!
今回、Facebookリード獲得広告の効果測定を行うために、リターゲティングの同一リストを利用して、Facebookリード獲得広告と通常配信を同時に配信するというテストを行いました。
■Facebookリード獲得広告と通常配信での検証結果
※図表内の数値は2018年12月1日~2018年12月21日の合計値。情報保護の観点から数字は類似値にしています。
※図表内の黄色は特筆すべき値を示しています。
※同一リストを使用して配信したことで、テスト5日目以降通常配信にインプレッションが偏ったため、配信ボリュームに差がついています。
同じ条件で比較するため、Facebookのプラットフォームで比べると、Facebookリード獲得広告の方がCPCは1.7倍ほど高額になったものの、CVRはFacebookリード獲得広告の方がおよそ2倍の好成績となりました。さらに、CPAは、通常配信の7割ほどの低価格に収まりました。
まとめ
Facebookリード獲得広告をうまく活用すれば、上記の事例のようにCVRを改善してCPA抑制することが可能です。
これからSNS広告に取り組んでみたい方も、すでにFacebook広告などを利用しているが、いまいち効果を感じていないという方も、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。