日本におけるマーケティングオートメーション(以下、MA)元年と言われる2014、2015年から、企業におけるMAツールの導入は急速に拡大し、2018年には約390億円(※)の市場規模に成長しています。この数字が物語るとおり、「マーケティング活動の効率化」「営業効率化」「売上増加」につながると期待し、とりあえずMAツールを導入する企業が増えています。
一方で、MAツールをうまく使いこなせていない、というBtoBマーケティング担当者の次のような声をよく聞きます。
「高価なMAツールなのに、ただのメール配信ツールとしての活用に留まっている…」
「獲得したリードのナーチャリングができておらず、休眠リードのままになっている…」
「MAツール活用のノウハウがないため、どうしたら良いかわからない…」
そこで本記事では、このような悩みがあるBtoBマーケティング担当者が、MAツールを活用し成果を出せるようにするためのポイントを紹介します。
(※)出典:2019年版 DMP/MA市場 ~デジタルマーケティングツールの活用実態とビジネス展望~(株式会社矢野経済研究所)
目次
そもそもなぜ、MAツールを使いこなせている企業が少ないのか?
大量のリードを保有している、MAツールも導入している。大きな成果につながる土台は整っているのに、なぜMAツールの活用が進まないのでしょうか。その要因を紐解くと大きく3つに絞られます。
1.ナーチャリングシナリオの設計・実装に、多くの時間がかかる
2.設計したシナリオに沿ったコンテンツを新規で制作する負荷、予算がかかる
3.そもそもMAツール活用のためのノウハウ・情報が少ない
■意外とできていない「シナリオの設計・実行」
上図のとおり、「いかにナーチャリングシナリオを設計・実行するか」が成果につながる分かれ目になります。
また、MAツールのナーチャリングシナリオのPDCAを回す際の工数と成果を図解すると、工数の負担が大きいのはP(Plan)とD(Do)の設計・実装部分です。逆に言うと、ナーチャリングシナリオを実行し始めてからは、比較的工数をかけずに成果を実感できるようになります(下図参照)。だから、MAツールを使いこなしている企業は大きな成果を実感し、使いこなしていない企業は実感できないという両極端の結果が出ているのです。
■MAツールのナーチャリングシナリオのPDCAを回す際の工数と成果
MAツールを活用して成果を出すために大事なこと
MAツールを活用して成果を出すために本質的に大切なことは、「リードの態度変容や行動変容を意識したナーチャリングシナリオを設計すること」です。リードがメルマガやコラムなどのコンテンツに接触したときに「どのような気持ちになってもらうか」を考え、読んだ後に「どんな行動をとって欲しいか」を意識して導線を設計すること。当たり前ですが、これを徹底的に考え抜いたシナリオは大きな成果へとつながりやすくなります。
しかしながら、この設計ノウハウがなく、新規でコンテンツを作るための人的リソース・予算もないことはよくあります。このような場合には、まずは簡単なシナリオで良いのでMAツールを活用したナーチャリングを実行していくことをおすすめします。
なぜなら、獲得したリードは、時間が経てば経つほど鮮度を失うからです。また、MAツールの費用は、モタモタしている間にもランニングコストとしてかかってきます。
仮に、普段はフォローできていない休眠リードにナーチャリングメールを配信するだけであれば、プラスの効果になることはあってもマイナスになることはありません。失うものはない状態だからこそ、まずは実行することが重要です。
まずはここから!MAツール活用をとにかく進めるための簡単3ステップ
「時間も予算もない。ノウハウがないから何から手を付ければよいかわからない…」
このような方に向けて、MAツールの活用を進めるための具体的な方法を3ステップで紹介します。既存のコンテンツを流用しながら簡単なシナリオを設計・実装するだけなので、まずはここから始めましょう。
■MAツール活用をとにかく進めるための簡単3ステップ
ステップ1.Webサイトの既存コンテンツの棚卸
既存コンテンツの棚卸を下表で整理します。
ステップ2.簡易シナリオの設計
ステップ1.で既存コンテンツを整理できたら、既存コンテンツを活用した下図のような簡易シナリオをまずは組んでみましょう。設計のコツは、とにかくシンプルにすること。シナリオが複雑になるほど実装や検証に時間がかかります。メールをクリックしたら?クリックしなかったら?などの細かな分岐を作らず、スタートからゴールまで一直線のシナリオを描くイメージです。
■簡易シナリオの例
■簡易シナリオの設計でよくある疑問
Q. | どんなシナリオを優先して設計すべきか? |
A. |
目的の達成に直結する(ナーチャリングシナリオの成果が出やすそうな)仕掛けを優先して設計することをおすすめします。
理由は、「効果が出る⇒社内での理解を得られやすくなる⇒MAツール活用の意識が広がる⇒MAツール活用が進む」という好循環が生まれるからです。また、何よりも数字に表れる成果は実務担当者のモチベーション向上に直結します。 |
Q. |
成果が出やすい簡易シナリオの設計例を教えて欲しい。 |
A. |
一例として、目的が「有効なホットリードの創出」の場合のシナリオを紹介します。
1.コールドリードに対して「事例やコラムなど形式でノウハウやトレンド情報」をメール配信する。 2.メールを受け取ったリードが、商談化につながりやすいホワイトペーパーや料金ページを閲覧したら、ホットリードとして扱い、リスト化する。または、担当者にメール通知が来る仕組みにする。 (3.リストに対して架電する) |
ステップ3.シナリオの実装
シナリオが設計できたら、実装・実行するのみです。
愚直に数値を追いかけていきましょう。
今日からできる!MAツールの簡単活用事例
もし、MAツールの活用ができていない状況であれば、伸び代しかありません。だから比較的簡単なシナリオでも成果を生み出すことができます。MAツールを活用している企業とそうでない企業の違いは、実行しているかどうかです。
いきなり複雑な分岐を持つシナリオを設計するのではなく、簡単なシナリオを作りスモールスタートすることをおすすめします。
ここでは、実際にBtoB商材でMAツールを活用し成果が出た企業の事例を解説します。
■事例:製造業向けソフトウェア(ITサービス業)A社
過去に営業がアプローチしたが、そのタイミングでは商談化しなかったリストの活用事例です。
商品やサービスの導入には仕掛けのタイミングが重要ですが、20人の営業人員で5,000件のリードにアプローチを継続することは現実的にはできません。この課題に対して、A社は簡単なナーチャリングシナリオを設計し実行。たった半年間で約1,500万円の売上につながりました。
※上記は事例になりますので効果を保証するものではございません。
※情報保護の観点から数字は類似値にしています。
まとめ
紹介した事例のように、ナーチャリングシナリオの設計に十分な時間やお金をかけられない場合でも、まずは簡単3ステップで簡易的なシナリオを実行しましょう。
メディックスでは、このような簡易的なシナリオの設計・実行に向けた支援をはじめとして、様々なMAサービスパッケージも用意して、MAツール活用の課題を抱える企業をサポートしています。
国内におけるMAツールの活用に関しては、2014、2015年がMA元年と言われるほど、歴史は浅くノウハウが公開されていません。だからこそ、活用事例のノウハウが蓄積されている企業に相談し、パートナーとして一緒に伴走してもらうスキームを作ると、回り道をせずに成果につながりやすくなります。
MAツール活用の簡単3ステップの詳細が知りたいという方も、MAツールを活用するために一緒に伴走してくれるパートナーを探しているという方も、まずはメディックスにご相談ください。