「BtoBマーケティングでもペルソナは必要なのだろうか?」
「BtoBマーケティングでペルソナを設定する方法を知りたい」
BtoB企業のマーケティング担当者の中には、このような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?
ペルソナは、顧客視点に立った意思決定やチーム間でのターゲット像の認識統一などができることから、マーケティングにおいては欠かせない要素の1つです。しかし、BtoBマーケティングにおいては、ペルソナの必要性や、具体的な設定方法がわからない方もいるかもしれません。
そこで本記事では、BtoBマーケティングにおけるペルソナの具体的な設定方法や、運用方法などを詳しく解説します。
目次
結論!BtoBマーケティングでもペルソナは必要
結論として、BtoBにおいてもペルソナは必要です。ただし、BtoCとは違う考え方が必要となります。
BtoCでは、情報を収集する人と購買を決定する人は多くの場合、同じ人物です。そのため、ペルソナとしての人物像を細かく洗い出せば洗い出すほど、顧客に寄り添ったマーケティングが可能になります。
一方で、BtoBでは、情報収集する人と購買の意思決定をする人は別であることが大半です。企業内で意思決定に関与する人が複数いることから、ペルソナの設定がBtoCに比べて複雑になります。
BtoCでは、個人の感情や好き嫌いにアプローチしますが、BtoBでは、個人の状況に加えて、組織の課題や決裁権、事業環境なども考慮しなければなりません。
BtoBの特長をおさらい
BtoBマーケティングでペルソナ設定をするためには、BtoCとは違ったBtoBの特長を把握しておかなければなりません。特長を理解することで、より具体的なペルソナ設定が可能です。特に意識しておきたいBtoBの3つの特長を解説します。
1.購買の意思決定に関与する人物が多い
BtoCでは、家や車などの高額商品を除いて、購買の意思決定に関与する人物は1人です。1人で検討し、1人で購買を決定します。
一方で、BtoBでは、購買の意思決定に関与する人物が多いのが特長です。購買を推進する人に加え、経営層や予算の責任者、サービスを利用する部署の代表などが意思決定の関係者として挙げられます。
商品やサービスの重要性や金額が高くなればなるほど、意思決定に関与する人数は増加する傾向にあり、組織で購買を決定していくのがBtoBの特長です。
2.購買者と利用者が異なることが多い
購買者と利用者が異なることが多いのも、BtoBの特長です。案件の予算や購買などの最終承認を行う「意思決定者」と購買行動プロセスに関わる「担当者」に加え、製品やサービスを実際に利用する「利用者」のことも考えなければなりません。
利用者が企業内にいる場合もあれば、企業内にいない。つまり、お客様のお客様である場合もあります。購買の意思決定に関与する人が多く、購買者と利用者が異なる場合もあることから、BtoBでは、より合理的な情報を示すことが重要です。
3.検討期間が長い
BtoBでは、商品やサービスの単価が高額になりやすく、意思決定に複数の人が関与することから、情報収集から購買の意思決定までの期間が長いという特長があります。また、課題の明確化や予算の確保までに時間がかかるのも1つの理由です。
商品やサービスにもよりますが、BtoBでは、商品の購買までに1~2年かかるのが一般的で、長ければ3年以上かかることも珍しくありません。
BtoBマーケティングでは、見込み顧客に対して中長期的に信頼関係を築いていく「リードナーチャリング」が有効といわれるのも、購買までの検討期間の長さが理由です。
BtoBの特長を踏まえたペルソナ設定のための重要ポイント
くり返しますが、検討期間や購買に関与する人数など、BtoBはBtoCと違う特長をもっています。BtoBマーケティングでペルソナを設定するときは、前項の特長を考慮しなければなりません。これを踏まえた上で、ペルソナ設定のための重要ポイントを3つ押さえましょう
1.ペルソナ個人の課題ではなく、法人や事業ベースを重視して設定する
BtoBでは、個人の意思よりも、会社のルールや文化が購買に影響します。そのため、ペルソナ個人の課題ではなく、法人や事業ベースの属性・課題を重視してペルソナ設定をしなければなりません。
BtoCでは挙げることのない、会社の「業種」や「従業員数」、「資本金」などもペルソナ設定に必要な項目です。また、「経営者の人柄」や「社員の服装」など、会社の文化を把握できる項目を入れておくと、より具体的にペルソナがイメージしやすくなります。
2.関係性のいい顧客に、できるだけ多くインタビューする
ペルソナの課題や属性を知るために有効な手段が、インタビューやアンケートです。BtoCでは、マーケティング調査のためのコンシューマーモニターを提供しているサービスが多く存在しますが、BtoBの場合は、手段が多くありません。
そのため、より有効な方法として、関係性のいい顧客に、できるだけ多くインタビューする方法が挙げられます。関係性のいい顧客であれば、「課題」や「情報収集手段」、「顧客メリット」など様々な項目をインタビュー可能です。
3.自社の立場が近い関係者にインタビューする
関係性のいい顧客に、できるだけ多くインタビューするのは有効な手段ですが、調査を依頼できる企業は多くないかもしれません。1~3社だけしか調査できなければ、情報に偏りが出る恐れもあります。
顧客へのインタビュー数が少ない場合は、自社の立場が近い関係者にインタビューするのも1つの手段です。営業やサポート部門など顧客接点がある部門へインタビューすることで、ペルソナをより具体的に設定できます。
間接インタビューによって、ペルソナ設定が容易になるだけではなく、ペルソナの目的を社内へ啓蒙する効果も期待できます。
BtoBのペルソナ設定例
本記事で紹介したBtoBの特長や、ペルソナ設定のポイントも考慮した上で実際にペルソナ設定を行うと、どのようなイメージになるのでしょうか。
BtoB向けペルソナの1例です。
項目 | 記入例 |
氏名 |
山口 陽子 |
年齢 / 性別 | 35歳 / 女性 |
会社名 | ○○株式会社 |
会社の事業内容・業種 |
ソフトウェア開発/ITサービス |
所属部署 |
営業推進部 |
役職 |
マネージャ |
勤続年数 |
5年 |
決裁権 |
なし |
担当業務 |
営業活動の支援 |
上記の課題 |
ユーザからの評判は高くリピーター獲得も順調だが、さらに売り上げを伸ばすために「新しい客層の開拓」や「顧客単価の向上」を課題としている |
事業年度・予算策定時期 |
決算期は3月 |
上記の例をみてもわかるように、BtoBのペルソナ設定では、BtoCでは挙げられないような会社の属性や、ビジネスの課題などが挙げられています。
このように、ペルソナを設定することで、ペルソナの課題や会社でのポジション、次年度の計画など、より具体的なイメージが可能です。個人のイメージに加えて会社の属性情報も入れることで、BtoBに適した提案やコミュニケーションができるようになります。
ペルソナの運用で失敗しないために
時間をかけてペルソナを作成しても、社内やチームでペルソナが浸透しなければ意味がありません。
作成したペルソナをチームに浸透させるためにも、
・チーム全員が共有できる環境づくり
・定期的なミーティング
などを考える必要があります。
例えば、大きな紙に印刷したペルソナをチーム全員が見えるところに貼付する。定期的にペルソナを見直すミーティングを行う、などします。
このような工夫をすることで、社内にペルソナが浸透し、主体的にペルソナを活用してくれることを期待できます。
まとめ
ここでは、BtoBマーケティングにおけるペルソナの設定方法や運用方法などを解説しました。
BtoBでは、検討期間や購買の意思決定人数がBtoCと違うことから、一般的なペルソナ設定とは異なる考え方が必要です。会社の「業績」や「従業員数」などBtoBならではの特長を整理して、ペルソナに入れることで、具体的なマーケティング施策を検討する際に役立つでしょう。
メディックスは、長年にわたってBtoBに特化した支援を行なってきたことから、BtoBマーケティングのノウハウを保有しています。広告運用からコンテンツ制作、マーケティングオートメーションの導入・運用まで、ワンストップで提供しています。
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