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セミナーレポート B2B SaaS 事業成長のカギ LTVを最大化するプロダクトアナリティクスとは~行動データに基づく最新の分析手法を徹底解説~

Aug 19, 2022 8:30:00 AM
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コロナ禍の影響を受け、BtoB業界においてもデジタルマーケティングが急速に浸透しました。特にSaaS事業において、その投資額は増え続けており、新規顧客を獲得するための活動が盛んに行われています。

このように、デジタルマーケティングが一般化した状況の中、B2B SaaS事業をより成長させるためには、新規顧客の獲得はもちろん、既存顧客の継続利用を促進するリテンションマーケティングが欠かせません。

そこで、本記事では、株式会社メディックスとAmplitude Analytics 合同会社で共催した「B2B SaaS 事業成長のカギ LTVを最大化するプロダクトアナリティクスとは」をレポート。

リテンションマーケティングの重要性について改めて解説した上で、KKD(勘・経験・度胸)に頼らずに、最適な施策を導き出す最新の取り組みとして、プロダクトアナリティクス「Amplitude」を活用する手法を紹介します。

目次

 

登壇者

※登壇者様の肩書はセミナー当時

 

Amplitude Analytics合同会社

プロダクトアナリティクス エバンジェリスト

山浦 直人 様

 

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Chapter.1

プロダクトアナリティクス「Amplitude」とは

 

Amplitude Analytics合同会社では、顧客行動データを利用してデジタル製品を最適化するためのプラットフォーム(=プロダクトアナリティクス)として、「Amplitude」を提供しています。

Webサイトやアプリを通じて取得した顧客行動データを「Amplitude」と紐づけることで、SaaS プロダクトを展開する上での重要指標であるLTVはもちろん、様々な分析を自動化することができます。

 

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プロダクトアナリティクスという総称から、マーケターとの関連性について疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、前述したような分析が実現できるという点で、欧米では特に注目を集めているツールの1つです。

デジタル製品における顧客行動を測定するために活用しているツールについて調査した「ハーバード・ビジネス・レビュー」のレポートにおいても、アンケートツールやWebアナリティクス、ビジネスインテリジェンス(BI)を抑え、プロダクトアナリティクスが1位という結果が示されています(※)。

 

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(※)参考:Harvard Business Review “Making the Leap to a Digital-First Enterprise”(Harvard Business Review Analytic Services)

 

Chapter.2

BtoBマーケティングを取り巻く環境の変化

 

オンライン広告費が増加し、投資対効果は低下

では、なぜ今、プロダクトアナリティクスへの関心が集まっているのでしょうか。主な要因としては、BtoBマーケティングを取り巻く環境の変化と、それにともなうリテンションマーケティングの台頭を挙げることができます。

総務省のデータを見ると、2020年時点での国内全体におけるオンライン広告費は1.7兆円を超えており、2016年時点と比較すると1.7倍に膨れ上がっていることがわかります(※)。

従来、オンライン広告に積極的ではなかった企業も投資するようになってきたことで、新規顧客を獲得するための単価(CAC)は年々高まっています。

 

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(※)参考:令和3年版 情報通信白書 “2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析”(総務省)

 

サードパーティcookieの規制拡大が追い討ちをかける

また、最近ではサードパーティーcookieの規制がヨーロッパを中心として徐々に広がっており、自社サイト外での顧客行動が見えにくくなっています。この規制が進めば、リターゲティング広告をはじめオンライン広告への影響は必至です。

さらに、サードパーティcookieの規制などの事情を反映するように、Google社の「Universal Analytics (Google Analytics 3)」のサポートが、2023年7月1日に終了することが発表されました。同ツールを活用してきた企業においては、Google Analytics 4 をはじめとした新しいツールへの乗り換えが喫緊の課題となっています。

こうした環境の変化により、今や「オンライン広告に積極的に投資して、新規顧客を獲得する」といった従来のような手法だけで事業を拡大することは難しい状況となっています。こうした一連の状況から、既存顧客をつなぎ止め、自社の製品・サービスを使い続けてもらうためのリテンションマーケティングが、改めて脚光を浴びています。

 

Chapter.3

リテンションマーケティングの効果を高めるプロダクトアナリティクス

 

BtoBマーケティングは、AIDMAからAARRRへ

従来のマーケティングにおいては、新規顧客の獲得のために「AIDMA(アイドマ)」などのモデルを活用することが一般的でした。こうしたモデルは、顧客の行動(Action)の部分で完結しているため、「自社の製品・サービスを使い続けてもらう」というリテンションマーケティングの考え方は反映されていません。

一方で、前述したような環境の変化を踏まえ、最近では「AARRR(アー)」モデルが企業に浸透しつつあります。これは、新規顧客の獲得(Acquisition)で完結するのではなく、その顧客を活性化(Activation)し、利用を継続(Retention)してもらい、さらには新たな口コミ(Referral)の効果にも後押しされて、収益(Revenue)につなげていくというモデルです。

 

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このうち、特にActivation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)の3つは、世界中で注目を集めています。「ハーバード・ビジネス・レビュー」が285人のエグゼクティブ層を対象に行った、デジタル製品がより長く成功するための要素についてのアンケート調査では、「ユーザエンゲージメント」が1位で、「新規ユーザの増加」はその約1/3程度に留まっていることがわかります(※)。

 

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(※)参考:Harvard Business Review “Making the Leap to a Digital-First Enterprise”(Harvard Business Review Analytic Services)

 

Webアナリティクスとプロダクトアナリティクスの違い

「ユーザエンゲージメント」を高め、自社の製品・サービスを使い続けてもらうためには、2つの施策が求められます。1つは、ヘビーユーザの行動を真似してもらうための施策。もう1つは、離脱ユーザの行動を真似しないでもらうための施策です。

これらの2つの施策を立案するためには、データの活用が不可欠です。しかし、実際には多くのマーケターが施策の立案のために、KKD(勘・経験・度胸)に頼っているという現状があります。プロダクトアナリティクスは、こうした属人的な状況を打破し、データドリブンなBtoBマーケティングを実現するために最適なツールと言えます。

データドリブンなツールと聞いて、Webアナリティクスやビジネスインテリジェンス(BI)を思い浮かべる方も多いでしょう。特に、Webアナリティクスとの違いについて、疑問を持つかもしれません。

 

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Webアナリティクスはご存知のとおり、Webサイトへの流出入量を定点計測し、起きた変化を把握することが得意なツールです。一方で、プロダクトアナリティクスは、「どんな顧客が、どのような行動を取ったのか」という「先行指標」を分析し、変化の原因を掘り下げることが得意なツールです。

プロダクトアナリティクスを活用することで、マーケターは顧客行動の変化の原因を特定しやすくなります。さらに、プロダクトチームやエンジニアに対して、データを基に対策やアイデアを求めることができるようになるなど、スムーズにPDCAを回す効果が期待できます。

 

Chapter.4

B2B SaaS事業における「Amplitude」の有効性

 

「コホート分析」で、次のマーケティング施策の方向性が見えてくる

プロダクトアナリティクスは、B2B SaaS事業とも相性の良いツールです。その理由の1つとして、企業単位での分析ができる点があります。

BtoBマーケティングにおいては、顧客の企業の中に1人のヘビーユーザがいたとしても、その企業全体の行動を反映しているとは限りません。その点、「Amplitude」では、その企業全体を1つのグループとみなす「コホート分析」を行うことができます。

「コホート分析」活用の一例を紹介しましょう。自社のデジタル製品の機能について「平均実行回数」「顧客に占める使用者の割合」といった軸で、4象限で分析します。

 

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この分析結果を活用することで、プロダクトチームやエンジニアは、左下の「使用者が少なく使用頻度も低い」機能を、右上の「使用者が多く使用頻度も高い」状態へと引き上げるための施策を検討することができます。また、左下の機能についてメンテナンスコストがかかっている場合には、機能自体を削除してしまうという方法もあるでしょう。

また、マーケターにとっては、右上の機能を既存顧客へのアピールポイントとして施策に組み込むような取り組みもできるようになります。

ここで紹介した分析は、あくまでもプロダクトアナリティクス活用の一例ですが、ユーザ単位ではなく、企業単位の傾向を知ることで、リテンションのための改善施策に活かせることがおわかりいただけるかと思います。

 

まとめ

 

ここまで解説してきたように、BtoBマーケティングにおいては、新規の顧客獲得の活動だけではなく、既存顧客の継続利用を促進するリテンションマーケティングの重要性が高まっています。こうした状況の中、KKD(勘・経験・度胸)に頼らないデータドリブンなリテンションマーケティングに取り組むために、プロダクトアナリティクスは欠かせない存在と言えるでしょう。

株式会社メディックスでは、BtoB領域を専門に支援する「ビジネスマーケティングユニット」内に、SaaSベンダを専門に支援する組織「SaaS Growth Partners」を新設しています。
新規顧客獲得のためのデジタルマーケティングはもちろん、今回紹介したような「リテンションマーケティング」に課題をお持ちでしたら、ぜひ、ご相談ください。

Tag: BtoBマーケティング


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メディックスBtoBマーケティング編集部

デジタルマーケティングの基本的な考え方や最新情報、実践的なノウハウを探している、BtoBマーケティング担当者向けに、日々のマーケティング業務のプラスになるお役立ち情報を厳選して発信しています。

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