「カスタマージャーニーマップという言葉はよく聞くけど、何のことだろう....」
そんな方に向けて、本記事ではカスタマージャーニーマップの定義や作成のメリット、作成ステップ、作るべきタイミングについて紹介します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客視点のプランニング手法
企業のマーケティング活動において、最初に行うのが「プランニング」です。
顧客となるターゲットを設定し、何を、どのように伝えるかを設計します。
不特定多数の大衆(マス)に大量の情報を伝達する「マスコミュニケーション」的なプランニングでは、なかなか顧客はつかめない時代となってきました。顧客の目的も価値観も多様化が進むなかでは、よりパーソナライズ(個々人向けにカスタマイズ)されたプランニングが必要となっています。
そこで、顧客(カスタマー)がある商品・サービスへ関心を持ち、調査、比較検討、購入など一連のアクションを起こすまでを、“ひとつの旅”と想定して、顧客の旅(ジャーニー)の道筋を地図のように可視化するプランニングの手法が、カスタマージャーニーマップです。
顧客の行動だけではなく、思考や感情の動きも含めた「カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)」を一連の見取り図にするのが、大きな特長です。
カスタマージャーニーマップにより、顧客が商品やサービスの購入を進める際に、マインドやニーズ、アクションが、どのように変化していくかを把握することで、顧客視点の効果的なプランニングが可能になります。
カスタマージャーニーマップは、コンテンツ企画に最適
カスタマージャーニーマップを作成するにあたっては、ペルソナ(象徴的な顧客モデル)の設定を行います。BtoBビジネスであれば顧客企業の製品選定担当者や意志決定を担う決裁者のペルソナを設定することになります。経歴、思考、ニーズや特性などのデータを反映したペルソナ像を作り、顧客の立場に立ちます。そうすることで、より的確に顧客のニーズに対応したコンテンツを企画することができます。
マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを用いたマーケティングのプロセスでも、カスタマージャーニーマップは有効です。MAツールは、顧客とのコミュニケーションをパーソナライズすることが主な役割です。パーソナライズされたコミュニケーションを実現するためには、顧客のニーズに対応したコンテンツが必要です。つまり、ペルソナを設定してカスタマージャーニーマップを作るプランニングとの相性が良いということです。
このように、カスタマージャーニーマップを作成することにより、より顧客にとって有意義なコンテンツを作ることができます。
カスタマージャーニーマップを作る5つのステップ
カスタマージャーニーマップは次の5つのステップで作成します。
1.テーマ設定
まずは、どのようなテーマに沿ったカスタマージャーニーマップを作るか決めます。
「対象となる製品・サービスは?」、「ターゲットは新規顧客?既存顧客?」、「どうなったらゴール?」
など、プランニングの根幹となるテーマを決めます。
2.ターゲットの選定(具体化)
ペルソナ作成の前段階として、ターゲット(顧客)を具体的にしていきます。できるだけファクト情報(実際にあった事実)を集めるようにします。
3.ペルソナ作成
ペルソナとは、「提供する製品・サービスにとって、象徴的な顧客モデル」のことです。BtoBの場合は、製品選定担当者や意志決定を担う決裁者のペルソナを作成します。
4.行程の設計(カスタマージャーニーマップの作成)
1.~3.で設定した情報をもとに、タイミングごとのアクションやマインドをシミュレーションして、マップを仕上げていきます。
5.アクションプランの策定
最後に、カスタマージャーニーマップから浮かび上がった「やるべきアクション」をまとめます。スケジュールにまで落として実行力を高めましょう。
カスタマージャーニーマップを作るべきタイミング
カスタマージャーニーマップは、プロジェクト全体の設計図となります。そのため、早めに、もしくは節目に作成しておくのが理想です。
最も作るのに適したタイミングは、プロジェクトのキックオフ前後です。ゴールイメージを全員で共有し、しっかり言葉にしておくことはスタート時に大きな意味を持ちます。
ビジネスには替わり目、節目も多数あるので、その都度作成、更新するのも良いでしょう。また、事業内容や組織に変更があった場合、カスタマージャーニーマップも更新が必要です。
あるいは、自社の取り組みで、「マーケティングが成果に結びつかない」といった課題が出てきた場合もカスタマージャーニーマップの作成が効果的です。問題点の洗い出しや方向性を明確にするのに役立ちます。
また、もうひとつ作成すべきタイミングとしては、社内(チーム内)の連携に問題があり、改善したいという時が挙げられます。実際のところ、連携のバラつきがマーケティング活動のボトルネックになっているケースは少なくありません。カスタマージャーニーマップを一緒に作成していくことで、情報共有、共通認識の醸成から、コミュニケーションの深化まで、スタッフ間の温度差を埋めることが可能です。
もちろん、完成したマップは設計図であり、共通認識された内容がその後のビジネスに役立つことは言うまでもありません。