マーケティング専門部署が存在せず、属人化した営業スタイルが定着
ITインフラ構築からアプリケーションの開発・保守までワンストップで手がけているベル・データ株式会社。とりわけIBM製品を軸としたソリューション提供では国内有数の実績を持ち、取引先数は2,700社以上にのぼります。
高い技術力とサポート力を強みとして1991年の設立以来、30年以上にわたって安定した経営を続けてきた同社ですが、デジタルマーケティング推進部 部長の二木 裕信 氏は、時代の動きを敏感に捉え、変革の必要性を感じ取っていました。
「当社の主軸は、多くの企業様の基幹システムを長年支えているIBM i(IBM Power®の統合オペレーティング環境、旧AS/400)関連のサービスです。従来、このサービスの保守やリプレイスで一定のニーズが確保できていました。しかし、すでに訪れつつあるクラウド化の大きな波もあり、市場全体が縮小していくのは確実と考えています。その精緻な分析も含め、今後の“攻め手”をマーケティング視点で検討する必要があると考えていました」(二木氏)
ところが、強固な顧客基盤を持っていることもあり、同社にはマーケティングの専門部署がありませんでした。各拠点がそれぞれ営業戦略を立て、実行していくスタイルだったと東日本サービス・デリバリー 第2インフラストラクチャー・サービス エキスパートエンジニアの松山 誠司 氏は明かします。
「もちろん、個々の拠点ではマーケティングの手法を用いているわけですが、部署ごと、個人ごとの裁量で動かしている状況でした。時代の変化に対応していくためにも、会社としてまとまりを持ち、ベクトルを合わせるべきではないかと考えたのです」(松山氏)
マーケティング専門部署の新設と同時に、マーケティング支援プログラムへ参加
そこで同社は、二木氏を中心にマーケティングの部署を新たに設立。同時に、IBMがパートナー企業向けに展開するマーケティング支援プログラムを受けることにしました。
「新設されたマーケティングの部署に配属された9名は、それぞれ独自にマーケティング手法を学んでいたものの、チームとして体系化された知識を持っていませんでした。そのため、IBMのマーケティング支援プログラムの代理店であり、同プログラムを主導するメディックスさんから、当社の環境分析をしつつカスタマージャーニーマップを作成するという流れを伺い、非常に魅力を感じました」(二木氏)
実際に一連のプログラムに参加した松山氏は、マーケティング戦略を策定する上で「ペルソナとはどのような存在か」「このような強みをアピールすべき」といった具体的なポイントを押さえることができたと振り返ります。
「私自身、これまでマーケティング手法を基礎から学んだ経験はなかったのですが、内容は非常にわかりやすいと感じました。どんな業務でも、思考や取り組みの順序は重要だと考えています。その点、プログラムを通じて『この順番で業務を進行すればいいのか』と納得感が得られたことが、特に印象に残っています」(松山氏)
「自分ごと」でマーケティングを習得できるプログラム
カスタマージャーニーマップの作成にあたっては、ワークショップを10回にわたって実施。
毎回、メディックスからのフィードバックを受けながらブラッシュアップしていくことで、自社が取り組むべきマーケティング戦略について、より深く思案できるようになったとお二人は振り返ります。
「ワークショップ、メディックスさんが用意してくれたテンプレートを基にディスカッションを進めていくスタイルです。その中で、自社の特徴、製品・サービスの特徴、競合はどこといったポイントをしっかり押さえつつ、お客様はどういうところに魅力を感じてサービスを選定するのか、追体験できました。毎回質疑応答とディスカッションを繰り返しながらカスタマージャーニーマップを作り上げたことで、経験の浅いチームメンバーにもマーケティング戦略の理解が進んだようです」(松山氏)
「ある程度独学で学んでいた知識についてもお墨付きをもらったというか、少し不安だった部分も解消できたところがあります。さらに、カスタマージャーニーマップを完成させるまでのミーティングで、参加したメンバーにマーケティング戦略に対する共通認識も生まれました。結果として、プログラムを通じてチームとしての基礎固めが実現できたと考えています」(二木氏)
新たな「第一歩」を踏み出す大きなきっかけに
新たな「第一歩」を踏み出す大きなきっかけに
こうして磨き上げた“マーケティング力”は、すでに社内プレゼンテーションや戦略構築といった場面で活用されているようです。
「今後、会社として本格的にマーケティング戦略を打ち出したいと考えていますので、作成したカスタマージャーニーマップのエッセンスは経営層への説明にも活用しました。これまで実施してきたマーケティング活動の振り返りはもちろん、今後は新たな市場開拓にも積極的に活用していきたいと思っています」(二木氏)
「これまで培ってきたノウハウは当然大切ですが、今後生き残っていくにはそれだけでは十分とは言えません。その意味でも、デジタルマーケティングに本格的に取り組むべきだと思っています。そのための第一歩を踏み出せたのは、メディックスさんのご支援のおかげです」(松山氏)
優れたマーケターとして、今後も様々な施策の支援に期待
今後はIBM のマーケティング支援プログラムを越えたところでも、メディックスの支援を期待したいとお二人は話します。
「当社は現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)の支援にも力を注いでいます。しかし、開発パートナーの中には『どこから手をつければいいのかわからない』といった声も多くありますので、情報の発信を含めて支援の幅を広げていきたいと考えています。そういった部分でも、優れたマーケターであるメディックスさんとご一緒に取り組めたらと、思っているところです」(松山氏)
「まずは、次のステップとして、カスタマージャーニーマップを基に具体的な施策を展開していきたいですね。ホワイトペーパーの作成・展開やウェビナー、セミナーの開催などを通じた集客、その後のリードナーチャリングなど、取り組みたい施策はいろいろありますので、今後もご支援を期待しています」(二木氏)