VOICEメディックスがマーケティング支援した
クライアント様から頂いた声

「マーケティング戦略をゼロから見直すことができるようになりました」

日立キャピタル株式会社 様

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メディアの増加によってマーケターが選択し得る施策が増えた一方で、効果的な施策を見極めるのが難しくなっています。そして、施策レベルでやみくもにPDCAを回した結果、効果が出ずコストばかりかかってしまうケースも…。

そんな時には、カスタマージャーニーマップの作成を通じて、マーケティング戦略を根本から見直すことが必要かもしれません。

今回はその好例といえる、日立キャピタル株式会社の事例を紹介します。

リスティング広告の効果が出ず、マーケティング戦略をゼロから見直すことに

総合ファイナンス企業として、金融サービスをはじめとしたソリューション提供を行い、国内だけではなくグローバルに事業を展開している日立キャピタル株式会社。そんな同社では、10年ほど前から企業間決済の支払業務を合理化するパーチェスカード(※)というサービスの取り扱いを開始しました。パーチェスカードは、企業間決済における支払代行サービスです。部署単位に法人カード(カードレス)を発行し、各種支払いをカード払いにすることで支払業務の合理化を図ることができるというサービスです。欧米ではすでに普及しているものの、日本においては目新しいサービスと言えます。

このパーチェスカードの国内での普及を目指して、同社では以前からリスティング広告を運用していました。しかし、クリエイティブの改善や、運用代行会社の変更といった試行錯誤を繰り返していたものの、なかなか期待したような成果を出せずにいたと営業統括本部BPO本部カード営業部長の水谷 健太郎 氏は語ります。

「リスティング広告は、パーチェスカードを普及させるためのプロモーション施策として最良なのか…。リスティング広告という枠のなかで、このままPDCAを回しているだけで本当に求めている成果を獲得できるのか…。成果を得られないなかで、ふとこのように感じるようになりました」(水谷氏)。

そして、水谷氏はペルソナを含めてもう一度、マーケティング戦略全体を見直す必要があると感じるようになりました。

「そもそも、うちの強みは何なのかといった根本的な部分から、外部の第三者に評価してもらいたい。そんな思いから、以前から取引のあったメディックスさんに相談しました」(水谷氏)。

水谷氏からの相談を受け、メディックスはマーケティング戦略をゼロから再考するために、カスタマージャーニーマップを活用したコミュケーション設計を提案。実際に、実施する運びとなりました。

(※)日立キャピタル株式会社「パーチェスカード」サイトはこちら

事前ミーティングにより明らかになった“2つの市場”

ワークショップの実施にあたっては、事前に水谷氏とその上司、企画担当者の方とメディックスとの間でミーティングを重ねました。カスタマージャーニーマップを作成する前に、市場環境などに関する情報を収集したり、ターゲットを明確にしたりする必要があるからです。

「実は、このミーティング自体、非常に大きな意義がありました。私自身、それまでパーチェスカードについて、上司とここまで詳細に議論する機会がなかったからです」(水谷氏)。

ミーティングを通して、ある事実が明らかとなりました。それは、パーチェスカード市場とAWS(Amazon Web Services = Amazonが提供するクラウドサービス)支払い市場の2つに分けてペルソナを設定した方が良いということです。

「実は、パーチェスカードは通信費や公共料金の支払いといった一般的な利用用途とは別に、AWS利用料金の支払いでの利用も目立ちます。これは、AWS支払いがクレジットカード決済と外貨払いを推奨しているためです。しかし、弊社では、これまで特にAWSの支払いだけを対象に、特別なマーケティング戦略を立ててはいませんでした。そこで、メディクスさんとのミーティングを通し、通常のパーチェスカード市場とAWS支払い市場に分けてペルソナを明確化してから、カスタマージャーニーを検討した方が良いという結論に至りました」(水谷氏)。

パーチェスカード市場の競合が金融系なのに対し、AWS支払い市場の競合は支払い代行を請け負うIT系ベンダが中心です。対象となるのも、パーチェスカード市場が財務や経理部門なのに対し、AWS支払い市場の場合はIT部門であることが多いです。したがって、それぞれの市場ごとにマーケティング戦略を区別した方が効果的であることは明らかと言えます。しかし、このように一見すると当たり前に感じることであっても、第三者から指摘がなければなかなか気づくことができないものなのです。

当たり前すぎて意識していなかったことが、実は自社の強みだった

自社の強みに関しても、新たな発見があったと水谷氏は振り返ります。

「弊社は、日立のグループ企業を対象とした案件が多かったので、お客様と一緒に稟議資料を作成するなど、細かなことまで入り込んで仕事をするスタイルが当たり前でした。そして、このようなスタイルが、実は他社と比べた場合の大きな強みになるとメディックスさんから指摘されました。また、「日立」という社会的信用力は、自分たちが思っていたより大きな強みであることも再認識しました。特に、AWS支払い市場では競合がITベンダなので、日立というブランドをより有効に活かすべきだと感じました」(水谷氏)。

ペルソナに関しては、ワークショップの前に決めておくべきか、ワークショップで決めるべきかで議論になりました。最終的には、「先入観を持たず、真っさらな状態で営業戦略を考え直したい」との水谷氏の考えもあり、ペルソナは日々、お客様と接している営業担当の意見を聞いた上で決めることにしました。

外部の第三者が加わることで活発な意見が飛び交う

実際のワークショップは、水谷氏と上司、そして、5人の営業担当がメディックスの会議室に集まり、丸一日かけて実施。水谷氏は、実施にあたって参加者への事前の情報共有に悩んだと語ります。

「実は、営業担当に対して、事前にどのような情報を伝えておくべきかで悩みました。あまり詳しく伝えてしまうと、事前に考え過ぎたり、構えたりしてしまって負荷が大きくなります。逆に、何も伝えないままだと、受け身になってしまうかもしれません。そこで、メディックスさんとも相談し、『来期以降のマーケティング活動に役立てるために、現場の意見を聞きたい』という主旨で伝えました。『来期以降』としたのは、メディックスさんからのアドバイスですが、自分事として捉えてもらうための工夫でしたね」(水谷氏)。

ワークショップの前半は、みんなでペルソナを練り上げていきました。市場と商品、日立キャピタルの強みについて確認したあと、パーチェスカードの顧客像についてみんなで意見交換。市場ごとのペルソナへ集約していきました。

その後、それぞれの市場について、「認知獲得」から「好意度形成」「組織的確信」というペルソナの態度変容に沿いながら、「状況・行動」「マインド」「情報ニーズ」「コンテンツ」「タッチポイント」「ハードル」などについて議論。様々な視点からの活発な意見が飛び交い、大変盛り上がりました。

「想像以上にみんなが本音を言ってくれたのが嬉しかったですね。普段、社内でこのように集中して議論をする機会はなかなかありません。また、社内の人間だけで集まっても、進捗会議や課題対策会議のようになってしまい、どうしても前向きな意見が出にくくなります。みんなが意見を言いやすいように、メディックスさんがうまく誘導してくれたおかげですね」(水谷氏)。

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立ち返るべき羅針盤ができたことで、PDCAを効果的に回せるようになった

「ワークショップの一番の成果は、メンバー1人ひとりが、『自分は何ができていて』、『どこで足踏みしていたのか』を俯瞰して体系的に理解し、それを、みんなで共有できたことです。この思考プロセスは、今後も様々なかたちで応用できると思います」(水谷氏)。

作成したカスタマージャーニーマップをもとに、顧客の情報ニーズに応じたコンテンツの拡充、汎用提案書や社内規定・運用ルールサンプルの作成、トップセールスの強化など、自社アクションを決めた同社。

「カスタマージャーニーマップを作成したことで、確信をもって施策を展開できるようになりました。とはいえ、もちろんすぐに結果が出るとは思っていません。今後もトライ&エラーを繰り返す必要があるでしょう。ただ、これまでと大きく異なるのは、立ち返るべき指標、羅針盤ができたこと。課題に直面した時には、カスタマージャーニーマップを手にしてペルソナやマーケティング戦略全体を見渡した上で解決策を検討できます。これまでのように、施策単位での対症療法ではなく、より広い視野でPDCAを回せるようになりました」(水谷氏)。

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過去の成功体験や思い込みを捨て、本音の議論をすることが結果につながる

最後に、これからカスタマージャーニーマップの制作を検討している人へのメッセージをいただきました。

「実際に体験して強く感じたのは、施策を決める責任者が成功体験や思い込みを捨てること、メディックスさんを信頼し、みんなで本音の議論をすることが大事だということです。それさえできれば、よく作られたフレームワークがあるので、自然と良いものができるのではないでしょうか」(水谷氏)。

1904-1494

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