「BtoB-ECで『あるべき姿』から逆算した施策を着実に実行し、3年で5倍の売上を達成しました 」
イシグロ株式会社 様

過去20年間で、450社以上のBtoB企業の支援実績を持つメディックスは、デジタルマーケティングの総合的知識を持つプロフェッショナルとして、こうしたBtoB-ECの課題にも伴走支援をしてきました。本記事では、総合配管機材の商社として80年の歴史を持ち、管材業界で国内トップシェアを誇るイシグロ株式会社の事例を紹介します。
営業が人力で売上を立ててきた歴史から、当初、ECへの初期投資の理解が得づらかった
イシグロ株式会社は、どんな建物にも必ず使われる配管機材を取り扱う総合配管機材商社です。国内外600社以上のメーカーから、バルブ・パイプ・継手をはじめとした配管機材やエアコン・トイレなどの空調・衛生機器まで、70万点以上の商品を取り揃えています。
常に挑戦する姿勢を掲げ、時代に合わせた新たなサービスを生み出し続けているのも同社の特長です。プライベートブランド「I Value」や即日から翌日のスピーディーな納品を実現した自社便の「即行便」、24時間365日の注文受付が可能な既存顧客専用のECサイト「ISHIGURO webstation」、一般法人向けのECサイト「管材プロ.com」など、独自のソリューション体制を構築しています。
「ISHIGURO webstation」と「管材プロ.com」の双方を管轄している、DX推進本部 Web販売部 部長の小松 大祐 氏は、それぞれの違いについて、次のように話します。
「『ISHIGURO webstation』は、弊社イシグロに70ある支店・営業所の注文の受け皿として2016年にオープンしました。24時間365日いつでも、在庫や提供価格をお客様にご確認いただくことができ、納期のご要望にも柔軟に対応できます。『管材プロ.com』は、営業部隊が接点を持つことができていないお客様に向けたECサイトとして、2019年に立ち上げました。人口減少が加速度的に進む中で、従来の対面中心の営業スタイルだけで売り上げを立てていくのは限界がありますので、小規模事業者様を含めた幅広いお客様との新規取引が増やせるチャネルを構築しようという考えのもと、取り組みを進めています」(小松氏)
いわば、「ISHIGURO webstation」は既存顧客の利便性を高める役割で、「管材プロ.com」は新たな収益源として期待されたプロジェクトだといえます。それだけに売上目標も非常に高く設定されていましたが、社内にEC事業に知見や理解のある社員が多くなかったこともあり、初期投資にも制限がある中、目標だけが独り歩きしてしまうような状況に陥っていました。
特にEC事業への初期投資が制限されるケースは、営業力を武器に売り上げを立ててきたBtoB企業では珍しいことではありません。実際に、「管材プロ.com」を立ち上げてからしばらくは、目標と実績に大きな乖離があったと小松氏は続けます。
「限られた予算の中、特に集客には苦心しており、競合が検索上位を占める中で、どうしても埋もれてしまう傾向にありました。当初はサイトの訪問数が0人の日もあり、数日に1回注文があるかどうかという状況で、月間売上が5万円ということもありました」(小松氏)
現実的かつ達成に向けた長期プランと密接なコミュニケーションが選定の決め手に
喫緊の対策が必要でしたが、Web販売部のメンバーには「ISHIGURO webstation」以外のEC事業の経験者がいませんでした。そこで、外部のコンサルティング会社の支援を仰いだのですが、事業計画上の目標を達成するための数値目標に偏った提案で、それを実現するための具体的な施策提案が少なく、現場として何を進めるべきか、不明瞭だったとDX推進本部 Web販売部 管材プロ.com課 課長の上平 教人 氏は振り返ります。
「具体的な施策提案が得られなかったので、まずは目の前の集客課題を解消しようと、外部のコンサルティング会社には頼らず、リスティング広告を出稿するなどの試行錯誤をしてみました。しかし、全く効果が出ず、プロフェッショナルの支援を受けないと太刀打ちできない、というのが実感でした」(上平氏)
そこで、Web販売部では、現場の状況を踏まえて、適切な支援をしてくれるプロフェッショナルの選定を行いました。「EC 広告代行」というキーワードで検索し、ヒットした企業から検討したと上平氏は明かします。
「その中で、現場の状況に即した、最も現実的な提案をしてくれて、かつ建設的な議論ができそうだと感じたのが、メディックスさんでした」(上平氏)
他社からは、目標ありきの非現実的なシミュレーションをもとにした提案や、かなり高額な予算が必要になる提案もあったといいます。設定されていた高い売上目標の達成から逆算すると、そういった予算が必要になる提案には納得できたものの、やはり現実のマーケティング予算とは、かけ離れていました。
「その点、メディックスさんは、目標を達成するにはこういう方法がある、と提示しながら、『1年で達成するのは現実的に難しい』と明確に言ってくれました。その上で、1年目はこうして、2年目、3年目はこうしましょうと、長期的なプランを初回から提案してくれました」(上平氏)
「KPIツリーを作成して改善ポイントを洗い出し、リスティング広告以外も提案するなど、密接にコミュニケーションを図った点も、メディックスさんを選んだ決め手になりました」と小松氏は話します。
集客に注力した取り組みで売上もROASも大幅に向上
実際にメディックスが支援を開始したタイミングでは、デジタルマーケティング上の課題が散見されており、実施すべき施策はたくさんありました。例えば、Web解析をした結果、サイト改修をしたほうが良い、という示唆は得られたのですが、サイト全体を改修するためには多額の投資が必要で、すぐに着手するのが難しい状況でした。そこでまず、集客に注力することを決め、新規ユーザのサイト訪問数を最大化する施策を展開しました。
「それまでも、リピーター率は高かったため、新規会員を獲得することが売り上げの向上には不可欠だとわかっていました。実際、新規の会員登録で10%オフクーポン配布というキャンペーンを展開していたのですが、メディックスさんからは、それをリスティング広告で展開するという提案をいただいたのです」(上平氏)
さらに、新規のユーザを、やみくもに増やすのではなく、サイトの回遊率や1セッションあたりのページ訪問数も踏まえて、施策の振り返りを行っていきました。
現在、GA4の分析などを担当するDX推進本部 Web販売部 webstation課の田村秀美氏は、メディックスの親身な説明で、マーケティング業務の未経験者でもやりやすかったと明かします。
「私はマーケティングの知識が全くなく、セッション数の意味もわからない状態でした。この部署に配属されて勉強したものの、なかなか理解できない部分も多かったところ、メディックスさんが定例会で不明点に関する質問に対して親切に答えてくださったり、GA4についても個別で教えていただいたりして、本当に感謝しています」(田村氏)
メディックスの伴走支援については、「コミュニケーションがとりやすい」と上平氏、小松氏も高く評価します。
「最初の提案からそうですが、メディックスさんは、一貫して『できないものはできない』と明確に伝えてくれます。競合だけではなく、製造業のような近い業界の取り組みや広告の展開なども、常に研究して教えてくれるので、私たちとしても検討しやすく助かっています」(上平氏)
「メディックスさんは、こちらの社内事情なども踏まえて最適な提案をしてくれますし、定例会でもファクトを並べてフラットな議論がしやすいようにしてくれます。あと、担当者が変わると説明する手間もかかるので大変なのですが、メディックスさんはずっと同じご担当者なのもやりやすく感じています」(小松氏)
そうした取り組みの結果、メディックスの支援開始から3年で、月間の売り上げは約5倍に、ROASも年々、向上しています。
「直近では、契約前にメディックスさんからシミュレーションいただいた数字よりもはるかに凌駕した売り上げになっていますので、計画どおりに進めれば、きちんと結果が出せるという手応えを感じているところです。社内でも認められるようになってきていますし、今後の2年間は、『管材プロ.com』が助走から大きく飛躍するかどうかを左右する重要な期間だと捉えていますので、引き続き伴走支援をお願いしたいと思っています」(小松氏)