オウンドメディアでは製品PRではなく、お客様課題に寄り添ったコンテンツを公開
住友商事グループのSCSK株式会社は、コンサルティング、システム開発、ITインフラ構築、ITマネジメント、BPO(Business Process Outsourcing)、ITハード・ソフト販売まで、ビジネスに必要なITサービスを幅広く提供しています。そんな同社において、プラットフォームソリューション事業部門は、“IT商社的”な立ち位置で国内外の厳選したITプロダクトの販売、構築、サポートを担っています。
そして、同部門では2018年に「SCSK IT Platform Navigator」というオウンドメディアを開設しました。そのコンセプトについて、「SCSK IT Platform Navigator」の運営を担当しているプラットフォームソリューション事業部門 事業推進グループ 営業推進部 第一課長 の大塩 暁子 氏は次のように話します。
「マーケティングで有名な『ドリルを買う人が欲しいのは、“穴” である』という格言(※)のように、弊社の取り扱い製品に関心を持っているお客様は、製品の導入自体を目的としているのではなく、製品の導入によって何らかの課題を解決することを目的としています。例えば、弊社の取り扱い製品の1つであるセキュリティ製品であれば、情報漏えいの防止やガバナンス順守の徹底といったことがお客様にとっての本質的な目的です。『SCSK IT Platform Navigator』では、お客様の本質的な課題解決に有益な情報を提供することを第一にしており、単純な製品PRコンテンツは掲載していません。一般的にお客様が抱える課題と解決策を提示した上で、一案として弊社のソリューションを紹介しています」(大塩氏)。
現在では、上記のコンセプトに沿ってお客様目線に立ったコンテンツを制作することができている同社。しかし、オウンドメディアの運営を開始した直後は、「コンテンツの目的と製品について両方の理解が必要になるため、求めている水準のコンテンツを制作できる制作会社がなかなか見つからない…」というBtoB領域のオウンドメディアを運営する企業特有の悩みに直面していました。
(※)セオドア・レビット著「マーケティング発想法」より
製品PR色の強いコンテンツの修正に丸一日を要することも…
実際に「SCSK IT Platform Navigator」では、取材時点(2019年9月)で「セキュリティ」「業務効率化」「生産性向上」「コスト削減」といったカテゴリーを中心に30以上のコンテンツが公開されています。それらはいわゆるブログ記事形式のコンテンツとなっており、一部は同社の依頼した制作会社が制作したものです。しかし、「SCSK IT Platform Navigator」のコンセプトとは異なり、制作会社から納品されるコンテンツの多くは、製品PR色が強いものが多かった、と大塩氏は振り返ります。
「制作会社には、メディアの目的と構成案もあらかじめお伝えした上で、各コンテンツを制作していただいていました。しかし、一般的なIT 記事と異なるためか、期待する原稿になかなか仕上がらない状況で…。何度やり取りしても求める水準にならず、弊社で大幅に修正しなければならないことも多く、場合によっては8割も書き直すこともありました」(大塩氏)
その結果、大塩氏や運営メンバーには大きな編集業務の負担がのしかかり、本来注力すべき業務になかなか時間を割くことができない状況が続いていました。
経験豊富な制作ディレクターがコンテンツの内容を的確にコントロール
このような課題に直面した大塩氏は、コンテンツ制作を新たな制作会社に依頼することを検討。そんな折、具体的な候補先として目をつけたのがメディックスでした。
「これまでも、メディックスさんには各部門から様々な依頼をしていました。私も2013年ごろにリスティング広告の運用を依頼したことがありました。しかし、デジタルマーケティング全般を支援していることは存じ上げていませんでした。そのため、新たな制作会社を探している時に、同僚から『メディックスさんは、コンテンツ制作もお願いできるよ』という話を聞き、相談させていただきました」(大塩氏)
大塩氏から相談を受けたメディックスでは、コンテンツ制作をディレクションする制作ディレクターにも課題があると考えました。そこで、社内において特にIT 系コンテンツ制作のディレクション経験が豊富な制作ディレクターをアサインして制作を進めることにしました。
「その制作ディレクターの方は、制作ディレクターとしての経験が豊富なことはもちろん、ご自身もIT系コンテンツのライティングを長年されているのでライターの方の気持ちをよくご存知です。そして、実際にお会いした際には『御社が考えるオウンドメディアの役割を正しく理解した上で、実際にコンテンツを執筆するライターと協力しながら、その内容をコントロールできる制作ディレクターがいれば、御社が意図しないコンテンツが仕上がるはずはない』といったお話をいただきました。いや本当にそのとおりだなと共感しましたし、信頼の置ける方だと感じました」(大塩氏)
メディックスへの依頼を決めた理由について、大塩氏はさらに次のように語ります。
「もともとメディックスさんの課題認識力や提案力には信頼を置いていたのですが、今回も弊社の課題を理解していただき、適切な解決策を提案してくださったので、早速1本、コンテンツ制作をお願いすることにしました」(大塩氏)
修正に要する編集業務の大幅な負担軽減と資料ダウンロード数の増加に成功
同社とメディックスの取り組みは、AI を活用したIoT センサーのデータ解析に関するコンテンツの制作からスタート。メディックスの制作ディレクターと担当ライターが事前に情報収集をした上で、同社の関連製品担当者と大塩氏を交えたミーティングにより詳細を詰めていきました。
「AIやIoTといった言葉は、一種の“バズワード”とも言えます。しかも、“バズ”ってからすでに数年が経過しているので、お客様が関心を持つ内容も徐々に変わってきています。そういった意味で、最後まで興味をもって読み進めていただくには、『どのような切り口で』『どのような構成のコンテンツに仕上げる必要があるのか』といったことを的確にアドバイスいただけたのは、とてもありがたかったです。また、テキスト部分だけではなく、写真や図版といったビジュアル面の工夫についても、総合的にご提案いただいており、お客様が理解しやすい記事に仕上げることを常に考えていただけるところに安心感があります」(大塩氏)
このコンテンツの制作を通じて確かな手応えを感じたという大塩氏。その後、現在に至るまで複数本の制作をメディックスに依頼。その結果、「以前は、丸一日かかることもあった初回原稿の修正作業を、2時間程度で終えられるようになった」と大塩氏は語ります。さらに、新規リード獲得という面でも成果が出ていると言います。
「各コンテンツの最後には、関連資料のダウンロードページへのリンクを掲載しています。そして、メディックスさんに初めて制作いただいたIoTセンサーに関するコンテンツからの資料ダウンロードは、これまでのコンテンツと比べて本当に多かったんです。先ほども申し上げたようにIoTというのは“バズワード”のようなものなので、ともすると他サイトのコンテンツと類似した、ありきたりな内容になってしまいます。しかし、メディックスさんは、しっかりとオリジナリティのある内容に仕上げてくださいました。
だからこそ、お読みいただいた方の納得感につながって、その後の資料ダウンロードも増えたのだと思います」(大塩氏)
第三者の立場で的確な提案をしてくれる外部パートナーの存在が重要
最後に、コンテンツ制作に悩みを抱えている人へのメッセージを伺いました。
「繰り返しになりますが、同じ製品、同じキーワードであっても、お客様が関心を持つ内容は常に変化しています。そういった意味で、常にクライアントと寄り添いながら、第三者の立場で的確な提案をしてくださるメディックスさんのような外部パートナーを見つけることが重要だと感じています。メディックスさんとは、今後も良きパートナーとして、ともにデジタルマーケティングを推進していきたいですね」(大塩氏)