「One to Oneマーケティングが、どのような手法なのか?知りたい」
「具体的な実践方法が、わからない」
このような悩みをお持ちのBtoBマーケターは少なくないようです。
見込み客へ個別にアプローチするOne to Oneマーケティングは、多くのメリットがあるため、BtoBにおいても積極的に取り入れたい手法です。ただし、運用に際しては、押さえておくべきポイントもあります。
本記事では、One to Oneマーケティングを実践するメリットと具体的な手法を、運用時の注意点とあわせて解説します。
目次
One to Oneマーケティングとは
One to Oneマーケティングとは、見込み客1人ひとりに合わせたマーケティング手法を指します。
インターネットが発達する前は、テレビや新聞、雑誌などから情報を収集する以外はなく、そういったマスメディアを活用するマスマーケティングが主流でした。しかし、インターネット環境が整備され、多くの個人がスマートフォンを所有して情報を収集するようになった現在では、ニーズは多様化しています。
その結果、マスマーケティングのような不特定多数を対象とする均一的なアプローチでは、成果を得にくくなりました。そこで、見込み客1人ひとりにあわせてカスタマイズしアプローチする、One to Oneマーケティングの考えが拡大してきたのです。
One to Oneマーケティングで、見込み客の求める情報を提供し続ければ、自社や自社製品のファンになってくれる効果も得られます。
BtoBの場合、アカウントベースドマーケティングも重要
一般的にOne to Oneマーケティングは、「個人」に最適化するため、BtoCで好んで用いられてましたが、BtoBにおいても、企業の担当者に対してOne to One マーケティンを行うことが普通になってきています。また、BtoBの場合、企業を1個人と見立てることで、One to Oneマーケティングを実施していく手法も主流となっています。この企業を1個人とみたてるマーケティング手法をABMと言います。ABMは、Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)を略した言葉で、自社に大きな利益をもたらすと考えられる「企業」(アカウント)をターゲットにしてアプローチするマーケティング手法として知られています。有力な企業に絞り込み、個別のアプローチができる場合は、ABMを採用することもおすすめです。
ABMについて、詳しくは、「アカウントベースドマーケティング(ABM)基礎!取り組むべき企業と具体的ステップ」をご覧ください。
One to Oneマーケティングのメリット
One to Oneマーケティングで、見込み客それぞれにあったアプローチを取ることには、次のメリットがあります。
しつこいと思われにくい
One to One マーケティングを実践すると、「しつこい」と思われにくいことがメリットです。
広告が、繰り返し表示されたり、送信されてくることを、不快に感じる人は少なくありません。その原因の多くは、興味のない情報を一方的に配信されることにあります。
その点、One to Oneマーケティングであれば、過去の行動履歴などに基づいて、興味のある情報が配信されることが特長です。見込み客にうっとうしいと思われることが少なく、目を通してもらえる可能性が高まります。
費用対効果が良い
不特定多数を対象とするマスマーケティングと比べると、アプローチしたい見込み客に絞って情報を届けられるため、コストを抑えられることもOne to One マーケティングのメリットです。
さらに、顧客の行動履歴を分析し、購買意欲が高いと思われる見込み客に、適切な情報を提供できることから、購買へとつながりやすくなります。結果的に、費用対効果が高くなる傾向にあることが、One to Oneマーケティングの特長です。
ツール活用で、運用工数が削減できる
テレビや雑誌、新聞といった媒体を用いるマスマーケティングでは、コンテンツの効果測定が難しく、効果に疑問があっても、気軽に差し替えることができません。
一方、主にITを用いる One to Oneマーケティングでは、制作や効果測定といった運用が気軽にできます。例えば、A/Bテストを繰り返し実施して、効果の高い広告に差し替えるといったことも簡単です。
しかし、顧客への個別対応が基本のOne to One マーケティングでは、対象とするリード数が多くなるほど工数も増え続けてしまうのでは?と、心配に思う方もいるのではないでしょうか。そういった場合でも、MAツールなどのOne to Oneマーケティングを効率化させるツールを導入すれば、運用工数を削減して、効率化を進めることが可能です。
One to Oneマーケティングを実現する具体的な方法
コストを抑えて運用できる上、高い費用対効果が期待できるOne to One マーケティングを実現するには、どのような方法があるのでしょうか。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度自社サイトに訪問した見込み客に対し、広告を表示させるWeb広告の配信手法の1つです。通販サイトで見ていた商品の広告が、別の日に、別のサイトで、表示される経験をした人も多いのではないでしょうか。
一度サイトに訪問したということは、自社の商品やサービスに関心があるといえます。なので、広告を配信して、その記憶を呼び起こし、再訪問してもらい購入を促すのが、リターゲティング広告の目的です。なお、同じ概念・仕組みのことを、Googleではリマーケティングと表現しています。
メール配信
見込み客にメールを配信する際も、自社との接触履歴や検討度合いなど、見込み客のフェーズに応じてメールを出し分けることで、開封率やレスポンスを上げられるのもメリットです。具体的には、ウェビナーに参加していただいたり、商談したことがあるといった顧客に対し、内容に応じた文面を配信すれば、見込み客の関心の度合いに応じた適切な関係を築き、ファン化を進めやすくなります。
なお、MAツールを用いれば、見込み客の個人名や企業名などを、自動で本文に埋めこむことが可能です。よりパーソナライズ化したメールの配信が可能になるので、活用を検討してみるとよいでしょう。
LPO
LPOとは、Landing Page Optimization(ランディングページ・オプティマイゼイション)の頭文字を取った略語で、CVR(成約率)向上を目的として、LPを最適化することを指します。LPは、情報を得るために広告や検索結果をクリックした時、最初にたどり着くページを指します。
最近は、検索している見込み客のプロフィールや地域に合わせた個別のLPを設定するツールもあり、出し分けが可能です。ユーザの環境や興味関心にあわせて最適化することで、CVRの向上が見込めます。
One to Oneマーケティングの課題は?
One to Oneマーケティングにおける課題として、今後の個人情報保護の動向に注視していく必要が挙げられます。
昨今、個人情報の取り扱いについては、世界的に制限が厳しくなってきています。例えば、EUでは、2018年にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行されました。GDPRでは、CookieやIPアドレスといったデジタルデータは、個人情報として取り扱われます。これらの情報を取得する際には、ユーザが理解できる形で許可を取り、適切に扱う必要があります。違反した場合は、処罰の対象とされます。
これは、EU圏内におけるデータ保護規則ではありますが、世界的に同様の動きになっていることは間違いありません。現在、日本のみでビジネスを行う企業に直接の影響はありませんが、今後も情報を追っていく必要があるでしょう。
GDPRについて、詳しくは、下記の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
「GDPRについて日本のマーケティング担当者が知っておくべきポイントと対策」
BtoB企業が、One to Oneマーケティングを実践するために
BtoBマーケティングは、BtoCと比べるとターゲット母数は小さいため、 One to Oneマーケティングは取り組みやすい手法です。
しかし、いくら母数は少ないとはいえ、見込み客の情報を、エクセルやスプレッドシートで管理するようなアナログの手法では、非効率的で、時間と工数ばかりがかかる結果になってしまいます。なにより即時性に欠け、見込み客に働きかける適切なタイミングを逃してしまい、高い成果は望めないでしょう。
One to Oneマーケティングを実践するなら、MAツールを導入するなどデータドリブンな設計にし、工数を減らして効率的に進めることが重要です。見込み客が、いつ、どのような行動をとったか、といったアクションデータをもとにして、適切なタイミングでコンテンツを提供することをおすすめします。
まとめ
見込み客1人ひとりに合わせてコミュニケーションを取るOne to One マーケティングは、BtoBにおいても有効です。One to Oneマーケティングは、自社製品へのファン化を、より緻密に、正確に、促すことが可能です。ファン化が成功すれば、それだけ商談につながりやすくなるため、費用対効果の面でも One to One マーケティングの成功を目指していきたいところです。
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