前編では有効リードの最大化につなげるため自動入札の種類や、BtoB広告でもtROAS(目標広告費用対効果)をおすすめする理由をお伝えしました。
後編の本記事では、実際にtROASを使って成功した事例と、成功に導くポイントについて解説します。
目次
事例から解説!tCPAからtROASに変更して、有効CPAが改善
この事例では、ターゲット顧客に売れる可能性が高いコンバージョンを「有効コンバージョン」と定義しました。そして、いかに安価に有効コンバージョンを獲得できるかを考えて、広告運用を改善し続けていました。
最初は、tCPA(目標コンバージョン単価)で運用していましたが、さらに改善をするために、tROAS(目標広告費用対効果)を導入することにしました。
過去数ヵ月間のコンバージョン数と基幹システム上の有効コンバージョン数をもとに、コンバージョン率を算出し、各コンバージョンポイントの売上金額をもとに、コンバージョン値を設定しました。
表1
※この事例では、コンバージョン値の設定に加えて、基幹システム上の有効コンバージョンのデータをオフラインコンバージョンとしてアップロードし、自動入札の学習向上に活かしています。
同じキーワード群で 、自動入札の種類、学習対象とするコンバージョンポイントの条件を変えて、以下3つ のパターンでテストを実施しました。
表2
配信した結果、tROAS運用時が最も安価な有効CPAとなることがわかりました。※実数値は以下表3をご覧ください。
表3
「表3」No.1のtCPAでは、コンバージョンポイントごとの重要度を区別できず、「一定時間のページ滞在時間」といったライトコンバージョンも通常の獲得コンバージョンも、媒体上では同じ1コンバージョンになります。
獲得しやすいライトコンバージョンを狙った調整・広告配信になりやすく、媒体のCPAが改善しても、基幹システム上で効果が悪化することがあります。
一方で、本来狙いたい有効コンバージョン(オフラインコンバージョン)のみを学習対象とし、コンバージョン数の多いコンバージョンポイントを抜いたため、「表3」No.3のtCPAでは学習対象となる媒体コンバージョンの母数が少なくなってしまいました。
そのため、自動入札の機械学習がうまく働かず、CVRが低下し、最終的な有効CPAが高騰してしまったと考えられます。
「表3」No.2のtROASでは、最も獲得したい「フォーム経由の有効コンバージョン(オフラインコンバージョン)」に高いコンバージョン値を設定し、転換率の低い「一定時間のページ滞在時間」に低いコンバージョン値を設定しました。
対象コンバージョンが同じ「表3」No.1と比較すると、価値の低いコンバージョンにつながりそうなクリックへは自動入札の機械学習入札単価を抑えるので、CPCは安価になっています。
また、価値の高いコンバージョンを積極的に獲得しようとするため、基幹システム上の有効CVRが高くなり、有効CPAも最も安価となりました。
成功に導くtROAS運用ポイントとは?
BtoB広告におけるtROAS運用のポイントは、下記のとおりです。
・ライトコンバージョンも含め、総コンバージョン数を担保する
・最終的に増やしたいリード(商談、成約など)を起点とした転換率を算出し、コンバージョン値として活用する
上記を実施するためには、媒体・基幹システム上ともに、コンバージョンの正確な計測が必須です。
例えば、基幹システム上のリードデータに「どこの入力フォームからコンバージョンに至ったか」を計測できていない、もしくは情報が間違っていた場合、算出する転換率が変わります。
その結果、コンバージョン値がずれてしまい、上手く効果改善にはつながらないでしょう。
まとめ
BtoB広告でもコンバージョン値を使用したtROAS運用の効果が出てきており、今後、コンバージョン数の増加の一手として実施されることも多くなっていくでしょう。
メディックスでは、取引実績400社を超えるBtoB専門のリスティング広告の運用チームが、20年以上のノウハウに裏付けられた運用代行を展開。媒体の管理画面のコンバージョンだけにとらわれず、商談や受注までトラッキングした上でPDCAを回す取り組みを行っています。
自社広告の効果が思うように出ていないなどのお悩みがありましたら、BtoBマーケティングの施策・実行をワンストップで提供できるメディックスに、ぜひご相談ください。