「アウトバウンドマーケティングとは?」
「インバウンドとアウトバウンドのどちらの戦略を取るべきかわからない」
BtoB企業のマーケティング担当者の中には、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
マーケティング戦略は、大きく「アウトバウンドマーケティング」と「インバウンドマーケティング」の2つに分けられます。
マーケティングの手法には、広告運用やオウンドメディア運営など様々な手法が存在しますが、マーケティング担当者であれば、「どの手法が」「どの戦略に分けられるのか」を理解しておかなければなりません。
両者の特長やメリット・デメリットなどを理解することで、より自社に合ったマーケティング戦略を検討できるようになります。
本記事では、アウトバウンドマーケティングの特長やインバウンドマーケティングとの違い、現在の日本でBtoB企業が取るべき戦略などを解説します。
目次
アウトバウンドマーケティングとは?
アウトバウンドマーケティングとは、企業から見込み客に対してアプローチを行うマーケティング手法のことです。
代表的な手法には、ダイレクトメールやテレビCM、テレマーケティングなどが挙げられます。これらの手法は、企業発信で消費者に情報を届けていくので、「プッシュ型」のマーケティングと呼ばれています。
アウトバウンドマーケティングの特長は、ターゲットの意思に関係なく、企業側から情報を与えられることです。その特長から、不特定多数へのアピールが可能となり、人の目に触れる機会は多くなります。しかし、興味のない層には、ネガティブな印象を与える恐れや、コストが高くつきやすいというデメリットもあります。
インバウンドマーケティングとは?
アウトバウンドマーケティングとは対極的な概念に、「インバウンドマーケティング」が存在します。インバウンドマーケティングとは、プッシュ型のアウトバウンドマーケティングに対して、「プル型」の戦略をとるマーケティング手法のことです。
インバウンドマーケティングでは、SNSやオウンドメディアを運用し、見込み客の自らの意思で企業と接点を持ってもらうようにします。低予算で始められる手法があったり、コンテンツが資産になれば、継続的な効果が見込めたりと、アウトバウンドマーケティングにはないメリットがあります。
スマートフォンやインターネット環境の普及により、インバウンドマーケティングは近年、着実に重要度が高まっているマーケティング戦略です。
インバウンドマーケティングについて詳しく知りたい方は、次の記事をご参考にしてください。
「インバウンドマーケティングとは?その考え方と取り組み方について」
【早見表】アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングの違い
対極的な概念として使われるアウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングですが、具体的には、どのようなポイントに違いがあるのでしょうか。
早見表で、両者の違いを確認しておきましょう。
■アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティング
アウトバンドマーケティング | インバウンドマーケティング | |
代表的な手法 |
・ダイレクトメール ・テレマーケティング |
・SNS ・オウンドメディア ・メルマガ ・セミナー、ウェビナー |
メリット | ・投下した資本に比例して、早く効果が得られる ・不特定多数へのアピールが可能 |
・一度制作したコンテンツが資産となり、中長期的に見込み客との接点を生んでくれる ・リピート率や顧客の信頼につながりやすい |
デメリット |
・資本投下をやめると効果も止まる ・興味のない層に、ネガティブな印象を与える可能性がある |
・成果が出るまでに、ある程度の時間がかかる ・特定の層だけへのアピールになる |
上記の表を見てもわかるように、アウトバウンドマーケティングとインバウンドマーケティングでは、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
BtoB企業のマーケティング担当者は、各戦略の特長を理解した上で、施策を検討していかなければなりません。
アウトバウンドマーケティングは、衰退する傾向にある
テレマーケティングやテレビCMなどの手法は、昔から使われてきた手法ですが、これらのアウトバウンドマーケティングは、これからの時代、衰退する傾向にあると考えられています。
その最大の理由が、インターネット環境とスマートフォンの普及です。近年、高速かつ安定したインターネット環境とスマートフォンの普及により、誰もが容易に情報を収集できる時代になってきています。
そこへ拍車をかけるように起きたのが、新型コロナウイルスの流行です。2021年1月時点では、新型コロナウイルスの流行で対面を避けるようになり、テレワークの浸透が加速しました。アウトバウンドマーケティングの代表的な手法として挙げられる電話や郵送DMの効果は薄れる一方で、展示会などの手法は、実施すること自体が難しくなっています。
さらに、『ハーバード・ビジネス・レビュー』による研究では、BtoB企業の顧客の67%が、営業と会う前にWebで購買意思を固めている。というデータを出しています(※1)。つまり、サービス・製品の認知から導入までに至る購買プロセスの半分以上は、営業訪問前に終わっているということです。これまでのように、展示会やリアルセミナーを通じて情報収集し、営業から説明を受けることで理解を深めるプロセスは、徐々に不要になってきていると言えるでしょう。
デジタル化の波やコロナウイルスの流行により、この数字は今後も増え続けると予想されます。
「BtoBマーケティングは、アフターコロナ時代にどうなる?変革すべきポイント3つを紹介」
また、自ら情報を取りにいけるようになった現代では、しつこくコンタクトを取ってくる営業に対して、「迷惑だ」とネガティブな印象を持つ企業も増えてきているのが現状です。アウトバウンドマーケティングによって得られるメリットもありますが、デメリットが、これまでよりも大きくなっている点は考慮しなければなりません。
BtoB企業は、これらの現状も踏まえた上で、マーケティング戦略を考えていく必要があります。
(※1)出典:Harvard Business Review “The End of Solution Sales”(Harvard Business Publishing社)
インバウンドマーケティングを成功させる取り組み
企業を持続的に発展させるためには、これから衰退していくと考えられているアウトバウンドマーケティングだけではなく、対極的な存在にあるインバウンドマーケティングにも積極的に取り組む必要があります。
しかし、これまでアウトバウンドマーケティングを軸に活動してきた企業からすると、インバウンドマーケティングと言われても、なにから取り組むべきかわからないかもしれません。
インバウンドマーケティングを成功させるために、最初に理解しておきたいのが「コンテンツマーケティング」です。コンテンツマーケティングとは、見込み客が悩んでいることや興味関心を持っている事柄を、コンテンツとして公開することで、自社との接点を生むマーケティング手法のことです。
例えば、分析計測機器を販売している企業の場合、測定や分析に関するお役立ち情報を、コンテンツとして発信できるかもしれません。メルマガ(オウンドメディア)やSNS(アーンドメディア)で価値のあるコンテンツを発信することにより、見込み客との接点が生まれます。
見込み客にとって価値あるコンテンツを発信すれば、接点を生むだけではなく、顧客のニーズ育成や、ファンとしての定着を目指すことも可能です。
さらに、具体的なコンテンツマーケティングの取り組み方法も理解しておきましょう。
具体的なコンテンツマーケティングの取り組みですが、
・ブログやメルマガなどの「オウンドメディア」
・SNSや口コミサイトなどの「アーンドメディア」
・リスティング広告やSNS広告などの「ペイドメディア」
の3つをまとめたトリプルメディアへの取り組みが有効です。
下記の表では、各メディアの種類や特長をまとめています。
■トリプルメディアとは
オウンドメディア | アーンドメディア | ペイドメディア | |
種類 |
・ブログ ・メルマガ など |
・SNS など |
・リスティング広告 ・SNS広告 など |
特長 | ・自分で運営可能 ・コンテンツ作りが必要不可欠 |
・ユーザとは対等な立場 | ・費用を払って広告を掲載 ・大勢のターゲットにリーチしやすい |
費用 |
・安く始められる |
・安く始められる | ・比較的高い |
施策期間 |
・長期 |
・長期 | ¥短期 |
表を見てもわかるように、メディアによって、特長や費用、施策期間などが異なります。トリプルメディアを連携させると相乗効果が期待できますが、やみくもに始めるのではなく、慎重に計画して1つずつ着手していくようにしましょう。
まずは、見込み客にとって有益なコンテンツを継続的に制作し、公開する体制を整えることが重要です。加えて、これら多様な媒体を用いることで、見込み客と自社との接点を作り上げることができるのです。
さらに、詳しいインバウンドマーケティングの取り組み方やツールについては、次の記事をご参考にしてくさい。
「インバウンドマーケティングとは?その考え方と取り組み方について」
まとめ
アウトバウンドマーケティングは、プッシュ型の手法を取るマーケティング戦略です。不特定多数にアプローチできるというメリットがありますが、インターネットの普及や新型コロナウイルスの流行により、これからの時代は衰退していくと考えられています。
日本では、すでに多くの企業が時代の波に合わせて、アウトバウンドマーケティングからインバウンドマーケティングにシフトしてきており、この流れはさらに加速していくことでしょう。
しかし、インバウンドマーケティングは、やみくもに始めたからといって、簡単に結果が出る戦略ではありません。インバウンドマーケティングで結果を出すためには、重要な要素となるコンテンツマーケティングの手法を正しくおさえておく必要があります。
長年のBtoB支援実績があるメディックスでは、インバウンドマーケティングには欠かせないコンテンツ制作も含め、クライアントの成長フェーズに応じて、適切なソリューションを提供しています。
BtoBマーケティングに関する様々なサービスを用意しているので、インバウンドマーケティングの施策でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。