「ROIとROASの違いが、よくわからない」
「CPAと、どう使い分けるのか?知りたい」
BtoBマーケターのなかで、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
広告を運用していると、ROIとROAS。そして、CPAという言葉を目にしますが、それぞれの違いや、自社にどれが適しているのか?が分からず、困ることは少なくありません。
そこで、本記事では、ROIとROAS、CPA、それぞれの計算法や、その違いなどをわかりやすく解説します。
目次
ROIとは?読み方と計算方法
ROIは「アール・オー・アイ」と読み、「Return On Investment」の頭文字を取った略語です。広告費の投資額に対して、どのくらい利益を得られたか、を表します。つまり、「投資の回収率」を表す指標を指し、数値が高いほど費用対効果が高いと判断できます。
ROIの計算方法
ROIは、次の計算式を用いて算出します。
ROI=利益÷広告投資額×100(%)
例えば、広告費に50万円を投資し、単価50万円・利益率30%の商品が10個売れた場合、
ROI=(50万円×10個×30%)÷50万円×100(%)=300%
となります。
また、広告運用においてのROIは、
ROI=(平均利益単価×コンバージョン数−広告費)÷広告費×100%
でも求められます。
例えば、広告費に50万円を投資し、平均利益単価1万円の商品が40個売れた場合、
ROI=(1万円×40個−50万円)÷50万円×100%=−20%
になります。
ROIは、0%になってはじめて「かけた広告費を回収」できます。つまり、ROIがプラスになれば利益が生まれており、マイナスだと損失が出ていると判断できます。
しかし、BtoB商材は、BtoCのように広告をクリックして、そのまま購入となることは、まずありません。BtoBは、「商談までの期間が長く、商談に至るまでにリードが複雑な経路をたどる」という特長があります。また、商談管理を行うツールの多くが、売上データは保有していても、利益データは保有していないのが現状です。そのため、残念ながらROIを正しく算出することは、ほぼ不可能なのです。
では、もう1つの広告指標であるROASは、どうなのでしょうか?次項でROASについて解説します。
ROASとは?読み方と計算方法
ROASは「ロアス」と読み、「Return On Advertising Spend」の頭文字を取った略語です。広告費の投資額に対して、どのくらいの「売上」を得られたか、を表します。
ROASの計算方法
ROASは、次の計算方法で算出します。
ROAS=売上÷広告投資額×100(%)
例えば、広告費として20万円を投じ、80万円の売上が出た場合、
ROAS=80万円÷20万円×100%=400%
となり、1円あたり4円の売上が得られることがわかります。ROASは単純に、数値が大きければ、それだけ広告の費用対効果が高いと判断できます。
ROASもROIと同様に、BtoB商材においては、その特長から正しく算出することは難しいとされていました。
それは、BtoBにおいて、広告流入から成約に至るまでのプロセスに、受注側・発注側の双方で複数の担当者や部署が関わるため、経路が追えないことが、ROAS算出の支障となっています。
そこで、メディックスでは、株式会社イルグルム様、株式会社ユニリタ様と協業し、BtoBにおける広告効果の可視化に取り組み、ROASの可視化を実現しました。
Webマーケティングの分析に強い「アドエビス」と「Salesforce」をつなぐことで、一連の流れを途切れることなく、可視化させることができたのです。
マーケティングチームとセールスチームが、個別に管理していたデータがつながることで、どの施策が、MQLやSQLを創出していたのか?を、リード獲得の経路を含めて可視化できるようになりました。
その結果、どの広告から、商談金額がどれくらい生まれているのかがわかるようになり、ROASを算出できるようになったのです。
詳しくは、下記記事をご覧ください。
「ロジックのないKPI設計から脱却!メディックス×アドエビスが進めるBtoB企業の広告効果可視化」
ROIとROASの違いについて
ROIが、広告費の投資額に対して、どれくらい「利益」が上がっているのか、を表すのに対し、ROASは、投資した広告費が、いくらの「売上」につながったか、を表します。
広告のパフォーマンスを計る指標という意味では、ROIもROASも同じです。ここまで説明してきたとおり、BtoBにおいてROIを算出するのは、ほぼ不可能であるため、広告の費用対効果を測りたいなら、ROASを指標とするのがよいでしょう。
広告運用で頻出する「CPA」とは
広告の効果を測る指標としては、「CPA」もあります。CPAは「シー・ピー・エー」と読み、「Cost Per Acquisition」の頭文字を取った略語です。「コンバージョン(CV=資料請求や問い合わせ、購入などの広告のゴール)1件獲得あたりの単価」を表します。注意点としては、アトリビューション(認知や育成など、CVに至るための「アシスト」のこと。間接CVともいう)を考慮していない、直接CVのみを図ることに用いられる指標である点が挙げられます。
指標の使い分けは、売上を目標としている場合はROASを指標とし、コンバージョン数を目標とするならCPAを指標とするとよいでしょう。
CPAの計算方法
CPAは、次の計算式で算出します。
CPA=広告投資額÷コンバージョン獲得件数
例えば、広告費に月50万円を投資し、20件のコンバージョンを獲得した場合、
CPA=50万円÷20=2万5,000円
となり、1件のコンバージョンを得るために2万5,000円の広告費がかかったことがわかります。CPAは数値が低いほど、広告の費用対効果は高いと判断できます。
「CPA」重視の運用では、CV数が減ることも
先にも述べたように、BtoB商材に関しては、「商談までの期間が長く、商談に至るまでにリードが複雑な経路をたどる」という特長があります。それは、商談に至るまでに、リードが、認知、育成、刈り取りと様々な広告に触れることも意味します。ですが、多くの広告運用で見られるのは刈り取り重視。つまり、「CPA」重視の広告運用形態です。BtoC商材であれば、広告を閲覧してすぐに購入ということはありますが、BtoB商材の性質上、課題認知、情報収集、比較検討、商談、のように多くの段階を経て購入にいたるため、「CPA」重視の広告運用では、失敗してしまう可能性が高いのが現状です。BtoB商材の広告運用では、認知、育成広告がもたらす「アトリビューション」も重視するようにしましょう。
「CPA」重視の運用から、アトリビューション運用を取り入れた結果の成功事例にご興味のある方は、ぜひ、下記記事をご覧ください。
「広告のアトリビューション運用で、Web全体のCPAが2分の1以下に効率化して、成約数が最大化しました」
そのほかの広告効果を図る指標
これまで紹介したROAS、ROI、CPA以外にも、広告効果を図る指標があります。以下にいくつかの代表的なものを紹介します。
LTV(Lifetime Value)
顧客1人が生涯にわたってもたらす収益の総額を示します。長期的なビジネス戦略を立てる際に重要です。
CAC(Customer Acquisition Cost)
新しい顧客を獲得するのにかかる平均コストです。マーケティングやセールス戦略の効果を計るのに非常に役立ちます。
CTR(Click-Through Rate)
広告またはリンクが表示された回数に対してクリックされた回数の割合を示す指標です。広告やキャンペーンのパフォーマンスを評価するのに使います。
CVR(Conversion Rate)
ウェブサイトやアプリで訪問者が実際に購入や登録などのコンバージョンを行う割合です。サイトの効果やUXの改善に役立ちます。
直帰率(Bounce Rate)
ウェブサイトにアクセスしたユーザーがほかのページに移動せずにそのまま離脱してしまう割合です。サイトの内容や魅力を評価する際に重要です。
これらの指標を組み合わせて利用することで、マーケティング戦略やビジネスの成長を総合的に評価し、最適化することが可能です。
まとめ
本記事では、ROIとROASの違い、またCPAという指標について説明しました。
BtoB商材は、商談に至るまで長期にわたり、複雑な経路をたどることが特長です。そのため、ROIやROASを正しく算出するのは困難です。また、BtoBにおいては、算出が容易な刈り取り広告だけではなく、認知や育成のための広告についても評価することが重要になります。CPA重視の運用には、注意が必要です。
なお、メディックスでは、記事内で紹介した広告効果の可視化サービスにて、これまで困難とされていたBtoBにおけるROASの算出を実現しました。広告運用に際して、指標が正しく追えていないという課題を感じているようでしたら、お気軽にご相談ください。
関連記事
ROASを可視化するには?改善する方法や広告運用時の注意点も解説
ROASの重要性とは?メリット・デメリット、ROIとの違いも解説!
マーケティング施策の費用対効果可視化(営業・顧客データ連携)