BtoB企業向けマーケティング支援事業を柱の一つとしている株式会社メディックスは、株式会社ベーシックと共催で、オンラインセミナー「製造業向け 事業に貢献するWebサイトとは?~カタログ型Webサイトからの脱却!~」を2024年2月8日(木)に開催しました。セミナーの一部を抜粋したレポートをお届けします。
近年、BtoB製造業のマーケティング活動において、デジタルマーケティングの重要度は高まっています。一方で、多くのBtoB製造業のWebサイトは「とりあえずカタログを載せておけば良い」となっているケースが少なくありません。
本セミナーでは、BtoB製造業の方向けに「事業に貢献するWebサイト」にするにはどうしたら良いか、BtoBに強みを持つメディックスとベーシック社から、その方法について、事例を交えて詳しく解説しました。
目次
Chapter1:事業貢献するWebサイト制作のポイントとは?
【スピーカー紹介】
Chapter1-1:製造業の販促領域DXを支援するメディックス
メディックスは、デジタルマーケティングの総合コンサルティングとして、インターネット広告の代理業と、Webサイトの制作やアクセス解析なども含め、デジタル領域全般を支援しています。
私は、メディックスの中でBtoB企業様のデジタルマーケティング支援をしている部隊に所属しています。近年では、BtoB製造業の支援に力を入れており、大手の製造業(電機メーカーや鉄鋼業)のお客様をご支援しています。
今回は、製造業の方向けにBtoBのWebサイトの作り方と、事業に貢献するにはどうしたら良いのかについて、お話しします。
ここ数年、非常に盛り上がりを見せる「製造業DX」。図1は製造業DXにおけるメディックスの立ち位置を示した図です。製造業各社がバリューチェーンの各プロセスをデジタル化(DX)することで、利益の最大化を狙っています。
製造業DXの中で、メディックスは、販促領域(営業・マーケティング領域)のデジタル化(DX)に特化して支援しています。
図1※クリックで拡大表示できます
メディックスの支援領域は、Webサイトの制作に限らず、集客や解析、戦略設計などデジタルマーケティング全般の支援が可能です。中でも多くのケースで、デジタルを活用する際、Webサイトは施策の柱になります。よって今回のテーマは「Webサイト」としております。
Chapter1-2:製造業がWebサイト運用で実現すべきこととは?
図2のグラフは、Googleのキーワードプランナーを使い「製造業DX」というキーワードで検索された数(検索ボリューム)の推移を示したものです。ご覧の通り、2020年4月あたりから右肩上がりで、直近も増加しています。「製造業DX」が、盛り上がりを見せていることがわかります。
製造業は、労働力人口の減少による人手不足や技術継承といった問題が表面化しつつあり、デジタルを活用することで、それを補う動きになっています。生産性向上やコスト削減、新たな価値創出を期待して、製造業DXの取り組みが行われています。
図2※クリックで拡大表示できます
図1では、バリューチェーンにおける製造業DXを説明しました。さらに、図3ではデジタルマーケティング(=販促領域のデジタル化)の注目度を見るために、「製造業 デジタルマーケティング」というキーワードの検索ボリュームの推移をグラフにしました。
コロナ直後に大きく「製造業 デジタルマーケティング」が盛り上がり、その後、少し落ち着きますが、直近では、また徐々に増えています。コロナという社会的な影響もあって製造業DXの拡大が進むとともに、製造業のデジタルマーケティングへの期待と取り組みも増加していると考えられます。
図3※クリックで拡大表示できます
製造業は、労働人口減少をDXによって補う必要があり、それに伴って販促領域(営業・マーケティング領域)のデジタル化も進んでいるという時代背景があると捉えています。
このような背景で、デジタルマーケティングが注目されているため、期待される成果もこれまでとは全く異なります。従来のように、広告がどれだけ露出したかや、Webサイトをカッコ良くて今風のものにする、などが評価軸にはなりづらいからです。
また、労働人口の減少が避けられないという切羽詰まった状況でもあるため、予算をつけて実施するデジタルマーケティング活動、Webサイト制作には、「どれだけ事業へ貢献したか?」ということが求められる時代になっているでしょう。
図4では、製造業がWebサイト制作・運用で実現すべきことをまとめています。実現すべきこととしてイマイチなのは、とりあえずWebサイトを公開することです。紙のカタログがあるので、それをWebに掲載するといったことが挙げられます。
また、何となくちょっと古い、5年前、10年前に作ったサイトなので、今風のカッコ良いデザインのサイトを作ることや、とりあえずWebサイトの閲覧数を増やしたい、資料請求・問い合わせの数を増やしたいといったことも重要ではありますが、「実現すべきこと」としてゴールに置くには物足りません。
これからの時代、製造業がWebサイトを作る際に何を目的(ゴール)とすべきでしょうか。それは、Webサイトを起因とした商談や受注の創出や、共創パートナーをいかに発掘するか、サスティナブルな取り組みを対外的にアピール(ブランディング)する、といった事業にインパクトを与えるようなことだと考えます。
図4※クリックで拡大表示できます
以上のことを踏まえて、改めて、製造業でWebサイト制作のミッションを持つ皆様に、事業貢献するためにWebサイトを作るにはどういうことをポイントとして押さえるべきなのかをお伝えします。
Chapter1-3:製造業のWebサイト制作で事業貢献するためのポイント
こちらのパートでは、事業貢献するためのポイントを解説します。
はじめに結論からお伝えすると、製造業のWebサイトを成功に導く、事業貢献につなげるWebサイトにするには、「営業担当とお客様のコミュニケーションをオンライン上で再現する」ことが大事です。これがWebサイトを制作する上で、また、デジタルマーケティングを実行していく上で、一番考えなければいけないことです。
営業担当とお客様のコミュニケーションをオンライン上で再現する上では、まずお客様とのコミュニケーションの解像度を上げる必要があります。もちろん、このコミュニケーションの内容は企業ごと、案件ごとに異なるため、一般化することは難しいですが、よくあるコミュニケーションを非常に簡易的に示したものが下の図5になります。
図5※クリックで拡大表示できます
図5にあるようなお客様とのコミュニケーション内容をいかにオンライン上で再現するかが重要です。これができれば、日本の製造業は、オフラインの活動でしっかりと成果を出してきたので、デジタルマーケティングでも成果が上がると考えます。
Chapter1-4:営業活動をオンラインに置き換えるためには?
では、営業活動をオンラインに置き換えるためにはどうしたら良いのでしょうか。以下の図6で4つのステップに分けて示しています。
1つ目は、営業活動の解像度を上げることです。図5では、非常に簡潔に営業活動をまとめましたが、実際、製造業の営業活動はもっと複雑かつ専門的で、内容の濃い話をされていると思われます。
どのような営業活動がされているか?の解像度を上げた上で、誰がどのタイミングで誰にコミュニケーションをとっているか?を整理するのが2つ目のステップになります。
このステップ1とステップ2を合わせて、我々マーケティング業界の人間は、「コミュニケーション設計」と呼んでいます。コミュニケーション設計というのは誰に何を伝え、どう態度変容させるのか?をデザインしていくことを指します。
図6※クリックで拡大表示できます
Chapter1-5:コミュニケーション設計の進め方
・営業活動の解像度を上げる(カスタマージャーニーマップ作成)
・誰に伝えるか?を整理する(ペルソナ作成)
・何を伝えるか?を整理する(バリュープロポジションの考え方)
・コミュニケーション設計を成功に導くポイント
Chapter1-6:製造業Webサイト制作を成功に導く、メディックス社の支援サービス
・コミュニケーション設計支援サービス
・BtoBサイト制作パッケージ「Medix toB Master」
※Chapter1-5以降の内容については、アーカイブ動画およびセミナー資料をご確認ください。
Chapter2:製造業事例から学ぶ 売上につながるサイト運用のポイント
【スピーカー紹介】
私のパートでは、Chapter1で大内田さんがお伝えしたノウハウやポイントを踏まえ、実際にご支援している製造業様の事例をご紹介できればと思います。
まず自己紹介ですが、私は現在ferret Oneにて製造業のマーケティング支援グループの1人として、イベントの企画や相談会の実施などをしています。前職では、営業支援会社におりまして、実際の現場で営業活動をした後、チームマネジメントを数年間経験。後に、マーケティング未経験ながらマーケティング部署の立ち上げを行い、営業を巻き込みながら四苦八苦した経験もございます。
製造業の担当者様とお話させていただくと、やはり営業をどう巻き込むか?といった課題をお持ちで、自身の経験も交えながら事例などを踏まえて、お話しできればと思います。
Chapter2-1:株式会社ベーシックとferret Oneについて
株式会社ベーシックという会社は、ちょうど今期に20周年を迎える会社です。皆様がお持ちの課題に対して、マーケティングとテクノロジーといった2軸で解決を進めていくミッションを持ち運営しています。現在、大きく分けて3つ事業がございます。一番古い事業としては、ferretという国内最大級のマーケティングに特化したメディアの運営です。
図7※クリックで拡大表示できます
私の所属するferretOne事業では、BtoBマーケティングを行いたいが「とにかく時間がかかって大変」「人が少なく業務がなかなか進んでいかない」「Webサイトからお問い合わせ、リードを獲得したい」といった課題を抱えるお客様の支援をしています。
図8※クリックで拡大表示できます
ferretOne事業では、図9にありますように、BtoBマーケティングを実行するにあたって必要な機能を一つで実行できるferret Oneというツールの提供と、BtoBマーケティングを進めていく上でのノウハウを、フレームワークを用いたコンサルティング支援をしています。
図9※クリックで拡大表示できます
Chapter2-1:製造業Webサイトに求められていることとは
まず自社のWebサイトを思い浮かべてください。ほとんどの方が、製品ページがあり、その各製品ページにカタログや、企業によってはCADデータ、サンプルデータなどがPDFでリンクされていると思います。
例えば、今のサイトを最新の情報に保つのが精一杯というお客様もいれば、本当にサイト自体は5年前・10年前にリニューアルをして、そこから特に更新ができていないといったお話もよくいただきます。一方で、お問い合わせを獲得したいという点で、自社サイトだけではなかなか引き合いが取れないので、外部サイトに資料などを掲載し、引き合いを獲得している企業が多くいると思います。
もちろん外部サイトに頼ることが悪いわけではないですが、お客様がWebサイトに何を求めているか?をもう少し深堀することで、この構造自体を見直すことができたらと思っております。
図10※クリックで拡大表示できます
図11は、イントリックス株式会社が調査した製造業に特化した調査データです。製造業従事者が製品選定するチャネルとしてGoogleなどの検索エンジンが75%、その次に企業のWebサイトで58%。従来の営業からの情報提供や、展示会を活用しつつも、Web経由での情報収集が基本的にメインとして重視されていることがわかります。
図11※クリックで拡大表示できます
Googleなどの検索エンジンでは、外部サイトにもたどり着くと思いますが、企業のWebサイト自体が単体で見られるケースも捨てられないと思います。ですので、お客様として情報収集をするときの動きは、外部メディアを活用しつつも、自社サイトでの情報発信も必要になります。
図12は、図11の調査データの続きです。製品を選定するプロセスの際に、Webサイト上にお客様が必要とする情報が掲載されていなかったことが理由で候補から外したり、そもそも検討自体を諦めたことがありますか?という質問です。実は4割近くのお客様が検討を諦めてしまっていることがわかります。
自社サイトにきちんとお客様が求める情報が載っていなかったというだけで、機会損失につながっているケースも往々にしてあるのです。
図12※クリックで拡大表示できます
したがって、お客様は、製造業のWebサイトに必要とする情報が掲載されていること、そしてそれが常に更新されている状態を求めていることがわかります。
製造業のWebサイトで重要な土台となる部分は、まずそのお客様が何を求めているのか把握すること、そしてその求められている情報を掲載し続けるための運用を実現することになると思います。そのお客様が何を求めてるのかといった部分は、大内田さんの説明の通り、Webサイト自体が営業担当と顧客のコミュニケーションをオンライン上で再現することとつながってきます。
では、実際に、こういった観点でWebサイトを運用して引き合い獲得を強化できている製造業の具体事例をお話しします。
Chapter2-2:Webサイトから引き合い獲得を強化できている具体事例
・事例1:産業機械メーカー
~誰が何をいつ見ているのか、顧客が見えるサイトに変えて成果創出~
・事例2:化学メーカー
~レガシーな事業でも従来にはなかったWebサイト経由での受注獲得~
・事例3:食品受託製造メーカー
~業界に先駆けWebマーケ施策を実行。休眠顧客からのお問い合わせが急増!~
Chapter2-3:本日のまとめ / ferret Oneのご紹介
Chapter2-2以降の内容については、アーカイブ動画およびセミナー資料をご確認ください。
※本記事は2024年2月8日に開催された「製造業向け 事業に貢献するWebサイトとは?~カタログ型Webサイトからの脱却!~」の講演内容を要約したものです。
※記載内容は当時の情報を元にしておりますので、予めご了承ください。また、登壇者の肩書などはセミナー当時のものとなります。
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