「パーセプションチェンジの意味を知りたい」
「BtoBマーケティングで、パーセプションチェンジを応用するには?」
BtoB企業のマーケティング担当者の中には、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
「パーセプションチェンジ」とは、日本語で「意識や認識を変える」という意味があり、マーケティングでは、顧客の意識の変化や態度変容という意味で使われます。
商品やサービスの売上を上げるためには、自社を認知していない見込み客に商品やサービスへの興味関心を持ってもらい、購買まで至るように、しなければいけません。そのため、マーケティングにおいてのパーセプションチェンジの理解は、非常に重要な要素となります。
本記事では、BtoB企業でも活用できるパーセプションチェンジの特長や、実践する上で重要なポイントを解説します。
目次
パーセプションチェンジとは?
パーセプションチェンジとは、日本語でパーセプション(意識・認識)を、チェンジ(変える)。つまり、「意識を変えること」と訳すことができます。その訳のとおり、マーケティングで「パーセプションチェンジ」といえば、顧客の「認知や意識の変容のこと」になります。
また、「態度変容」をパーセプションチェンジと呼ぶこともあります。「態度変容」は、意識の変化と行動の変化、両方の意味で使用されることがあります。
マーケティングでは、パーセプションチェンジ、つまり、顧客の意識の変化を促す戦略が必要不可欠です。しかし、顧客の行動や興味・関心が多様化した現在、パーセプションチェンジは企業の一方的な情報発信では難しくなってきており、より顧客の意識の変化や行動の変化を深く理解する必要が出てきました。
それでは、企業が顧客のパーセプションチェンジを促したい場合、顧客の態度変容をどのようにとらえたらよいのでしょうか。
顧客のパーセプションチェンジのプロセスとして、活用できる1つのモデルが「AISAS」です。
AISASとは、消費者のパーセプションを、下記5つのステージに分ける考え方です。
- 1.Attention:注目
- 2.Interest:興味
- 3.Search:検索
- 4.Action:購買
- 5.Share:共有
AISASでは、商品の「注目」から入り、購買に至るまでに「興味」、「検索」と2つの態度変容があります。AISASは「購買」で終わりではなく、その後の「共有」までも含めてパーセプションチェンジと考えるモデルです。
現在は、誰もが日々たくさんの情報に触れられる時代です。そのため、企業が一方的な情報発信をしているだけでは、顧客の意識を購買まで持っていくことは難しく、気づかないうちに顧客を競合企業に取られてしまう可能性も高くなります。
機会損失を減らすためにも、企業はAISASのような考え方を活かして、自社の商品やサービスへの「注目」から「興味」、「検索」、「購入」、さらに、「共有」まで促すようなコミュニケーションを取っていかなければなりません。
AISASにおけるBtoB向け施策
消費者のパーセプションチェンジを促すプロセスとして、「AISAS」を紹介しましたが、このAISASをBtoB企業にあてはめると、どのような施策を実践すればよいのでしょうか。AISASの各ステージで、BtoB企業が打ち出すべきマーケティング施策を紹介します。
1.Attention:注目
最初のステップ「Attention(注目)」での代表的なマーケティング施策には、
・SNS広告
・動画広告
・ディスプレイ広告
などが、挙げられます。Attention(注目)での目的は、その名前のとおり消費者に注目してもらうことです。SNS広告や動画広告、ディスプレイ広告などは、まだその商品やサービスを知らない見込み客にリーチする手段として、有効な手法といえます。
2.Interest:興味
AISASの2つ目のステージが「Interest(興味)」です。このステージで用いられる代表的な施策には、
・リンク先のコンテンツ
・e-bookやホワイトペーパーといったダウンロード資料
などが、挙げられます。
最初のAttention(注目)で商品やサービスに注目した消費者を、リンク先のコンテンツやダウンロード資料に辿り着かせ、商品やサービスに興味を持ってもらうのが目的です。「実際に利用したい」と思ってもらえるようなコンテンツ作りがポイントになります。
3.Search:検索
Interest(興味)の次のステージは「Search(検索)」です。BtoB企業では、
・SEO
・リスティング広告
などが、Search(検索)のステージの代表的な施策になります。
インターネットを利用して情報収集が容易になった現代では、消費者は興味を持った商品やサービスのことを念入りに調べるようになっています。特にBtoBは、BtoCよりも検討期間が長いのが特長です。
見込み客は、興味を持った商品やサービスに対して、他社製品と比較し、メリットや特長などを調べ、不安や疑問を解決します。これが3つ目のSearch(検索)の段階です。このタイミングで、SEOやリスティング広告などの施策を打ち出すことにより、自社商品や自社サービスの態度変容を促せます。
4.Action:購買
4つ目のステージが「Action(購買)」です。このステージでは、
・ランディングページ最適化
・割引などのお得情報を載せたリターゲティング広告
などの施策が有効です。
Search(検索)の段階が終わった見込み客は、いよいよ購買の段階へと移りますが、このステージでは見込み客の不安を払拭しなければなりません。商品の決済方法や信頼性など、購買する直前に疑問となるポイントの解決が、Action(購買)のステージには求められます。
5.Share:共有
AISASでは最後に、「Share(共有)」という項目も存在します。インターネットが普及した現在では、購入した商品の感想をSNSやメディアでシェアすることが一般的になりました。そのため企業は、消費者の購買が終わって安心するのではなく、そのあとのユーザの共有までを考えて、施策を打ち出さなければなりません。
ですがBtoBは、BtoCと違い、商品やサービスの口コミが広まるケースが多くありません。
BtoBでShareの段階にあたる施策は、「事例を自社サイトで紹介すること」が挙げられます。次に、購買を考えている見込み客の判断材料になるように、顧客が知りたい情報も盛り込んだ事例紹介を作成しましょう。
ここでは、AISASにおけるBtoB向け施策を紹介してきました。しかし、AISASはあくまで業界単位の大まかなモデルです。
さらに、厳密な施策を打っていく場合には、自社の顧客に、よりフォーカスしたモデルを見つけていく必要があります。次項では、自社の顧客にフォーカスできる手法、「カスタマージャーニー」を紹介します。
カスタマージャーニーとは
前項ではAISASについて解説しましたが、さらに厳密な施策を打っていく場合には、自社の顧客に、よりフォーカスしたモデルを見つけていく必要があります。そこで活用できる手法が「カスタマージャーニー」です。
カスタマージャーニーとは、見込み客のペルソナ像を明確に定義し、その見込み客が
・課題認知前
・課題認知
・情報収集
・比較検討
・評価選定
・導入・利用
へ至るシナリオを時系列でとらえることです。各フェーズで、ペルソナが利用するシーンやチャネルを想定し、そのときの思考や行動までを具体化していきます。
最初のペルソナの明確化では、ペルソナの目的や課題、人となりや好みなど、細かなところまで想定することが重要です。
見込み客が、広告をクリックしたり、ホワイトペーパーをダウンロードする場合、そのアクションの前後や背景には、様々な課題や感情が隠されています。そのような顧客の行動や課題、感情も踏まえて、必要なコンテンツを検討するのが、カスタマージャーニーです。
それぞれのフェーズにおいて、課題感や感情、必要なコンテンツを検討することで、パーセプションチェンジを促すことが可能になります。
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パーセプションチェンジを実践する上で、大事なポイント
顧客の意識や行動をスムーズに変化させるためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。ここでは、パーセプションチェンジを実践する際に、意識しておきたい2つのポイントを紹介します。
1.現在を正確にとらえる
前項ではカスタマージャーニーの特長として、”それぞれのフェーズにおいて課題や感情、必要なコンテンツを検討する”と述べましたが、その課題や感情を正確にとらえられなければ、顧客とのズレが生じてしまい、正確なカスタマージャーニーは描けません。
そこで、課題や感情を正確にとらえる方法として、顧客へのインタビューや市場調査などが挙げられます。
また、すでに購買実績のある既存商品を商材とする場合は、
・購買した顧客の属性情報に、偏りはあるか?
・どのようなニーズや課題から、購買されたか?
・顧客は購買に至るまで、どのような行動を取ってきたか?
など、過去のデータを洗い出し、その商材、並びに顧客の現状を整理することも重要です。
さらに、BtoB商材の場合は、商品の選定者と決裁者が異なる場合があるため、決済者のペルソナも考慮しておく必要があります。それぞれの関係性や権限を考慮し、できるだけ具体的なペルソナの設定を行いましょう。
2.質の高いコンテンツ
パーセプションチェンジを成功させるためには、顧客の疑問や不安の解決が欠かせません。顧客に疑問や不安が残ったままですと、パーセプションチェンジを実現できないどころか、むしろネガティブな印象を持たれる可能性もあります。
疑問や不安を解決するための方法はいくつかありますが、特に意識しやすいのは、コンテンツの質を高めることです。見込み客が抱えている課題を正確にとらえ、期待している情報を120%上回るコンテンツを制作できれば、パーセプションチェンジは、より実現しやすくなり、顧客との信頼関係も構築できやすくなります。
ちなみに、BtoBのコンテンツには、
・オンラインセミナー
・オウンドメディア
・ホワイトペーパー
・カタログ
・動画コンテンツ
など、様々な例が挙げられます。フェーズやペルソナの設定、商品やサービスのタイプに合わせて、最適なコンテンツを検討することも重要です。
パーセプションチェンジを管理するために
パーセプションチェンジを成功させるためには、施策を打ち出すだけではなく、各施策の効果測定やデータ管理もしなければなりません。パーセプションチェンジは、見込み客ごとに情報を数値化することで管理可能です。接触したコンテンツや問い合わせ履歴など、見込み客の行動に応じてスコアリングをすることで、数値情報をもとに客観的に管理できます。
パーセプションチェンジの管理は、エクセルやスプレッドシートでも可能ですが、より効率的に管理し、高い成果を得たい場合には、MAツールの活用がおすすめです。MAツールとは、「マーケティングオートメーションツール」の略で、マーケティング活動の可視化や自動化ができるソフトのことです。
MAツールを活用すれば、組み込んだシナリオどおりに見込み客と接触し、スコア情報を管理できるようになります。例えば、インターネット広告をクリックしたユーザに、ランディングページを見せる場合、どの広告からアクセスしてきたかによって、見せるランディングページを変え、さらに、ランディングページを見たあとのアクションをもとに、見込み客のスコアリングをしなければなりません。MAツールを利用すれば、これら一連のシナリオ設計とスコア情報の管理が自動化できるので、効率的にパーセプションチェンジを実現できます。
まとめ
顧客の意識や行動を、自社にとって望ましい状態に変化させる「パーセプションチェンジ」は、自社の商品やサービスの売上を上げるためには、理解しておきたい重要な用語です。パーセプションチェンジを理解することで、SNS広告やリスティング広告などの施策も、最適化できるようになります。
しかし、顧客の行動や興味関心が多様化した現在、企業の一方的な情報発信だけで、パーセプションチェンジを促すことは難しくなってきています。スムーズにパーセプションチェンジを実現させるためにも、コンテンツの質を高めたり、顧客へのインタビューで現状を理解するなど、成功に向けて正しいアクションを行うことが大切です。
長年のBtoBの支援実績があるメディックスでは、パーセプションチェンジのポイントとなる広告施策の提案や、ランディングページの制作など、幅広いマーケティング支援を行っています。
本記事でも解説したカスタマージャーニーの設計や、MAツールの実装・運用なども、支援可能です。
BtoBマーケティングで、困りごとがある際は、お気軽にご相談ください。