BtoBマーケティングにおいて、長年の課題になっている「費用対効果」の可視化。BtoB広告における簡易的な費用対効果の可視化手順については、別記事にて紹介しています。(Account Engagement(旧Pardot)を使用している方はこちらもご参照ください。)
今回の記事では、Google AnalyticsとSFA・CRMツールを本格的に連携して、広告を含むWebサイトへの各流入チャネル・閲覧コンテンツの費用対効果を可視化する手順の一例について紹介します。
目次
今回の内容の全体像
今回、紹介する内容の全体像が下図1になります。BtoBにおけるマーケティングデータと営業・顧客データを連携することで、マーケティング施策の費用対効果を可視化します。
図1:今回の内容の全体像
これにより、例えば、下図2のようなデータを可視化することが可能になります。広告を含むWebサイトへの各流入チャネルとSFA・CRMのデータをつきあわせることで、各流入チャネルからの商談貢献や売上貢献を可視化することができるようになるからです。
また、Webサイトでの閲覧コンテンツのデータとSFA・CRMのデータをつきあわせることで、各閲覧コンテンツの商談貢献や売上貢献も可視化できるようになります。
図2:流入チャネル別の費用対効果可視化イメージ
データ連携のための基本知識
具体的な連携手順の例を紹介する前に、データ連携のための基本的な知識について整理しておきたいと思います。
データ連携の手順は、大きく分けて下記の2つの手順から成ります。
<データ連携の手順>
1.連携したいデータ、各々に共通するキーを持たせる
2.その共通キーで、各データをつきあわせ、見たいデータを可視化する
1.連携したいデータ、各々に共通するキーを持たせる
例えば、Google広告とGoogle Analyticsのデータにおいては、両者を自動連携している場合、Google広告の「キャンペーン」の値とGoogle Analyticsの「キャンペーン」の値が一致します。これが、共通するキーとして使える、というようなイメージです。
2.その共通キーで、各データをつきあわせ、見たいデータを可視化する
また、連携したいデータにおいて共通キーがあれば、その共通キーにて、各データをつきあわせ、見たいデータを可視化していきます。ただし、これを手動でやると膨大な工数がかかるため、この過程は各種ツールを用いて自動化する必要があります。そのために必要になってくるのが、「ETL」と「DWH(SQL)」と「BI」になります。
図3:データ連携の手順イメージ
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データ連携に関わるツールなどの用語解説
「ETL」「DWH(SQL)」や「BI」などの、データ連携に関わる用語について簡単に解説したいと思います。
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ETLとは?
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ETLとは、データ統合の際のプロセス、「Extract(抽出)、Tranceform(変換)、Load(書き出し)」の頭文字をとったものです。連携したいデータが格納されているプラットフォームやツールから、データを抽出し、統合用に変換して書き出し、DWHに、データを格納していくためのツールになります。
データレイクとは? -
データレイクとは、無加工の「ローデータ」などを、そのまま保管していくための「データの倉庫」のような場所になります。
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DWHとは? -
DWHとは、Data Ware Houseの略で、データレイクから連携に必要なデータを引っ張ってきて、最終的に見たいデータを可視化するために、各々のデータをつきあわせて、加工するためツールになります。
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SQLとは?
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SQLとは、Structured Query Languageの略で、DWHにてデータをつきあわせ、加工するためのプログラム言語になります。DWH内でSQLにより、BIで分析・可視化するためのデータを用意します。
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BIとは?
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BIとは、Buisness Intelligenceの略で、DWHにてつきあわせをし、加工されたデータを分析して、ダッシュボードとして可視化するためのツールになります。
※最近ではETL、DWH、BIをオールインワンで提供するツールや、DWH機能を持ったBIなど、複数の機能を持ったツールがリリースされています。
マーケティングと営業・顧客データの連携方法の具体例
この章では、マーケティングと営業・顧客データの連携方法の具体例を紹介します。
まずは、前述の「データ連携の基本的な手順について」の「1.連携したいデータ、各々に共通するキーを持たせる」においては、下図4のとおり、広告データとGoogle Analyticsのデータ連携の際に「Google AnalyticsのUTMパラメータの情報」を共通キーとして使います。
そして、Google AnalyticsとSFA・CRMのデータ連携では「Google AnalyticsのClient-ID」というもの共通キーとして使います。
Google AnalyticsのClient-IDとは?
Webサイト訪問者(デバイス)に対して、Google Analyticsから割り振られるユニークIDです。
このClient-IDを、Webサイト訪問者がフォーム送信によりリード化した際に、フォーム入力情報と一緒にSFA・CRMへ送ることで、Google AnalyticsとSFA・CRMデータの共通キーとして使えるようになります。
図4:マーケティングと営業・顧客データの連携方法の具体例
次に、「2.その共通キーで、各データをつきあわせ、見たいデータを可視化する」においては、上の図4のとおり、「ETL」と「DWH(SQL)」と「BI」を活用して、データのつきあわせ・可視化の環境を構築します。
ミニマムでもよいので、早めに始める重要性
ここまで読んでいただいて、様々な専門用語も出てきたため、ハードルを感じている方も多いと思います。しかし、この領域においては、ミニマムでもよいので、早めに始めることが重要です。
データを連携・可視化したあとには、必ず調整が幾度となく入ります。そして、それぞれの企業のビジネスや組織に合わせた最適なアウトプットを模索していくことになります。
そのため、最初から大規模なシステム連携をするのではなく、1つの部署やプロダクトにおいて、ミニマムスタートで早めに模索を始めた方が、この領域で先行する可能性が高いと考えています。
まとめ
最後に、BtoBにおいて、この領域が進んでいない要因は、データ連携のハードルの高さにあると思います。そこで、メディックスでは始めやすいソリューションとして、費用・工数を抑えたミニマムプランを用意しています。
まずは、気軽にご相談いただければと思います。
メディックスの「マーケティング施策の費用対効果可視化(営業・顧客データ連携)ソリューション」についての事例などの紹介はこちらをご覧ください。