「BtoBのマーケティング戦略は、どのように立てたらいい?」
「戦略の策定から実行までの各ステップを知りたい」
BtoB企業のマーケティング担当者の中には、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
BtoBマーケティングを成功させるためには、緻密な戦略設計が欠かせません。しかし、BtoBマーケティング戦略を策定するには、策定から実行までの全体像や、各ステップの具体的な手法を理解しておく必要があります。
本記事では、BtoBマーケティングの要ともいえる戦略の策定方法や実行までの全体像、各ステップの具体的な手法を解説します。
目次
BtoBマーケティングの特長・BtoCとの違い
BtoBマーケティングの役割を簡潔にいうと、「受注確度の高い多くの見込み客を、投資効率よく営業の前に連れてくること」です。この役割をしっかりと果たすために、BtoBマーケティングでは、正しい戦略が求められます。
それでは、BtoBマーケティングにおける正しい戦略は、どのようにして策定していけばよいのでしょうか。戦略を策定するにあたって、はじめに理解しておきたいのが、「BtoBマーケティングの特長」です。その特長を知ることで、効果の高い戦略を組み立てられるようになります。
戦略を策定するにあたって、基本の知識となるBtoBマーケティングの特長を、BtoCマーケティングと比較しながら掴んでおきましょう。
BtoBマーケティングの代表的な特長には、
・検討期間が長い
・経済合理性の観点から購入を決断する
の2つが挙げられます。
BtoCマーケティングでは、購買予定のない商品への、いわゆる衝動買いを促すために、レコメンドの仕組みやイメージ広告、キャッチコピーによる「感情を刺激する訴求」が効果的といわれています。
一方で、BtoBでは先に挙げた特徴から、BtoCのような「感情を刺激する訴求」は高い効果が期待できません。検討期間が長く、経済合理性の観点から購入を決断するのがBtoBの特長なので、「課題を認知する前」から「具体的な製品の購入」に至るまでの各プロセスにおいて、顧客との接点を持つ必要があります。
これらの特長を把握した上で戦略を策定していくと、効果の高いマーケティング施策を実施できるようになります。
上記、BtoBマーケティングの特長を把握したところで、BtoBマーケティングの戦略の策定から実行に至るまでの全体像を確認しておきましょう。次に、戦略の策定から実行までのプロセスでチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。
BtoBマーケティング戦略策定・実行の全体像
マーケティングを成功させるためには、マーケティング戦略の策定・実行が必要です。マーケティング戦略の策定・実行では、次の点を抑える必要があります。
1. 課題・目的の明確化
2. ペルソナの作成
3. カスタマージャーニーマップの作成
4. PDCAを回す
それぞれ詳しく解説します。
1.課題・目的の明確化
戦略の策定では、はじめに「そもそも何のためにマーケティング施策を実施するのか」を明確にしなければなりません。これが「課題・目的の明確化」です。課題と目的が明確でなければ、施策を実行したときのアウトプットが、結果的に役に立たなくなる恐れがあります。
また、課題・目的が明確でなければ、次のステップであるペルソナの作成もスムーズに行えません。車を走らせても目的地がなければ迷ってしまうように、はじめに課題と目的を明確にすることで、実行までの物事をスムーズに進めることができます。
2.ペルソナの作成
課題と目的が決まれば、次はペルソナの作成、つまり「“誰”に対してマーケティング施策を実施するのか」を考えるフェーズに移ります。ペルソナを明確にすることで、顧客視点での意思決定や、ターゲット像の認識の統一などが可能です。
ペルソナの作成は、難易度が高く感じられますが、既存顧客の情報を分析することで、架空の典型的な顧客像を描きやすくなります。
例えば、既存顧客の情報から
・どのようなニーズが多いのか
・どのような要素を重視して購買を決定したのか
などの購買パターンを分析し、新しいペルソナを作成していきます。既存顧客の情報を分析しながら、ペルソナの性別・年齢・職業・決裁権限の有無などを具体化していきましょう。
3.カスタマージャーニーマップの作成
「カスタマージャーニーマップ」とは、顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの行動や思考、感情などのプロセスをまとめたマップのことです。
ペルソナが明確になったあとは、そのペルソナ情報を基にカスタマージャーニーマップを作成していきます。
顧客の一連の購買プロセスは、
・課題認知前
・課題認知
・情報収集
・比較検討
・評価選定
・導入/利用
の6つに分けられます。
上記の各プロセスの中で、
・どんな思考をしているか
・どんな行動をとるか
・どんなコンテンツを消費するか
などをシミュレーションしていきましょう。
シミュレーションしたペルソナの行動や思考を落とし込んでいくことで、カスタマージャーニーマップの作成が可能です。カスタマージャーニーマップを作成すれば、課題の発見が容易になったり、関係者全員が共通認識を持てたりと、多くのメリットが得られます。
4.PDCAを回す
どれだけ時間やコストをかけてマーケティング戦略を策定しても、戦略が最初から予想どおりに上手くいくことは、ほとんどありません。そのため、マーケティング戦略は最初から完璧なものができることを期待せずに、実施したあとは分析と改善を繰り返していくという意識を持つことが重要です。
1度最後まで戦略に沿った施策を実行したあとは、どのような課題があったかを洗い出し、それらの課題を改善していきましょう。PDCAサイクルを回すことで、施策の完成度は着実に増していき、より高い効果を期待できるようになります。
各種ツールの検討
BtoBマーケティングの業務は、メールを配信するような単純な作業から、調査と分析が必要な複雑な作業まで多岐にわたります。その業務を1人で行わなければならない企業もあれば、複数人でチームを組んで行う企業もあり、その形態は様々です。しかし、いずれにしても多岐にわたる業務のすべてに、リソースを割くのは至難の技といえるでしょう。
限られたリソースで効率的に施策を成功させるためには、単純な業務はマーケティングツールに任せて、マーケターは、得られたデータから重要な意思決定をする作業に集中しなければなりません。つまり、マーケティングを成功させるためには、効率化に役立つツールの導入の検討も必要になるということです。
それでは、マーケティングを効率化させるツールには、どのようなものがあるのでしょうか。
代表的なマーケティングツールには、
・マーケティングオートメーション(MA)ツール
・セールスフォースオートメーション(SFA)ツール
・広告運用自動化ツール
・アトリビューション分析ツール
・アナリティクスツール
・ビジネスインテリジェンス(BI)ツール
などが挙げられます。
これらツールの特長や選び方、扱う上での注意点は、下記の記事で解説しているので、読んでみてください。
「BtoBマーケティングツールは、どれがおすすめ?選び方のポイント4つも解説」
リードジェネレーション
「リードジェネレーション」とは、日本語で「リード(見込み客)のジェネレーション(獲得)」、つまり「見込み客創出」という意味になります。
BtoBマーケティングのプロセスの中でも、リードジェネレーションは重要なフェーズといえるでしょう。リードの獲得数が多ければ多いほど、商品やサービスを購入してくれる顧客数は多くなるためです。
リードジェネレーションには様々な手法が存在しますが、代表的なものには、オウンドメディアやWeb広告の運用が挙げられます。オウンドメディアやWeb広告の運用を通して見込み客との接点を増やすことで、「企業名」「担当者名」「メールアドレス」といった個人情報の獲得が可能です。
マーケティングでも重要視されるフェーズのリードジェネレーションですが、効率的に施策を実施するためには、良質なコンテンツ作成や広告運用スキル、SEOやSNSに対する知見など、幅広い知識が求められます。
具体的な手法やKPI設定の方法については、下記の記事で解説しています。
「リードジェネレーションの役割は?具体的方法とKPI設定例を解説」
リードナーチャリング
リードジェネレーションで獲得したリードを育成していくプロセスが、「リードナーチャリング」です。リードを獲得したからといって、そのリードが自社の商品やサービスを購買してくれるとは限りません。
リードナーチャリングでは、獲得したリードを自社サービスの購買につなげるために、主にメール配信を通して価値を提供し、顧客の購買意欲の向上を計ります。
BtoBマーケティングの特長で触れたとおり、BtoBには「検討期間が長い」という特長があるため、リードナーチャリングでは効果が出るまで根気強くアプローチを継続する必要があります。また、見込み客の関心を惹くためにも、魅力的なコンテンツの用意が欠かせません。
リードナーチャリングの具体的な手法や注意点については、下記の記事で解説しています。
「リードナーチャリングとは?具体的なステップと手軽にできる3つの施策を紹介」
リードクオリフィケーション
リードナーチャリングで顧客を育成したあとは、リードから購入可能性の高い見込み客を選別する「リードクオリフィケーション」に移ります。
リードナーチャリングを実施しても、見込み客の反応は「買いたい!」となる顧客と、そうでない顧客に分かれます。リードクオリフィケーションとは、前者の「買いたい!」となった見込み客を発見するフェーズです。スコアリングなどを用いることで、より購買意欲の高い見込み客を見つけられます。
見込み客の創出から、営業にリストを渡すまでの流れは、先に説明した「リードジェネレーション」、「リードナーチャリング」、そして最後の「リードクオリフィケーション」の3つのステップにまとめられます。これら3つのステップを、あわせて「デマンドジェネレーション」と呼びます。
リードクオリフィケーションは、営業に見込み客を引き渡す上での最終フェーズとも呼べる要素で、デマンドジェネレーションの中でも特に注力すべきステップです。
具体的な手法や注意点については、下記の記事で解説しています。
「リードクオリフィケーションとは?その重要性と方法についてご紹介」
BtoBマーケティング戦略は見直すことも必要
先にも述べたように、BtoBマーケティング戦略は最初から完璧な施策が実施できるわけではありません。ビジネスは様々な要素が組み合わさり、予想外の出来事も多く発生します。
そのため、はじめに策定した戦略に固執するのではなく、進捗や時代の変化を見ながら柔軟に戦略を見直すことが重要です。2020年12月現在、いまだ猛威をふるう新型コロナウイルスによって、人々の生活様式は大きく変わりました。
BtoBマーケティングにおいても
・オフライン施策の困難化
・電話がつながらない
・郵送DMが読まれない
といった大きな変化が訪れました。このような情報収集のデジタル化は、これからより一層進むと考えられます。
アフターコロナ時代のBtoBマーケティングについては、下記の記事でも触れているので、読んでみてください。
「 BtoBマーケティングは、アフターコロナ時代にどうなる?変革すべきポイント3つを紹介」
事業環境は、ほかにも競合の台頭、政府主導によるデジタル化の促進など、多くの変動要因があります。これからの時代を生き残るためにも、「戦略を変えることは悪いことではない」と認識しておくことが重要です。
まとめ
さらに、各種ツールの活用やデマンドジェネレーションの理解など、戦略を策定するために求められる知識やスキルは多岐にわたります。戦略を策定したあとも、PDCAを回しながら分析と改善を繰り返していく地道な作業が必要不可欠です。
1つひとつの課題をクリアしながら、正しいBtoBマーケティング戦略を策定していきましょう。
取引実績
また、カスタマージャーニーマップの設計サービスも実施しており、もし、MAを使用している場合は、カスタマージャーニーマップを基にしたMAのシナリオ設計・実装も可能です。
BtoBマーケティング戦略で困りごとがある際は、お気軽にご相談ください。