
2025年12月17日(水)に、開催したMEDIXユーザー交流会「Escalledge(エスカレッジ)」。今回は、メディックスの製造業クライアントの皆様にお集まりいただき、「製造業マーケティングのお悩み相談会」というテーマで実施しました。
製造業のマーケティングに関わる皆様からは、予算や人員リソースの少なさ、ノウハウの不足などに、日々、頭を悩ませながら、お過ごしだとお伺いしておりました。また、製造業のマーケティングに携わる皆様同士で交流する機会は、非常に少ないとも感じておりました。そこで、今回はメディックスの製造業クライアントの皆様にお集まりいただき、同じ悩みを抱える担当者様同士での交流を深め、日々の業務に関しての新たな気づきや刺激になれば、と思ったことが本テーマを選定したきっかけです。
ユーザー会の中では、皆様から事前に寄せられた製造業のマーケティングに関する課題やお悩みについて、回答・解説するコーナーも設けました。
本レポートでは、製造業マーケティングのお悩み相談会の講演パートと、皆様から寄せられた質問への回答などをお届けします。
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製造業マーケティングに関する質問の回答付き
講演パート:「製造業マーケティングのお悩み相談会」開催の背景と目的

▼スピーカー紹介

株式会社メディックス
ビジネスマーケティングユニット
製造業向け営業グループ マネージャ
大内田 将輝
製造業マーケターは「孤独」になりがち? 開催に込めた2つの目的
冒頭、弊社の大内田は、今回の交流会の開催に至った背景として、製造業のマーケティング担当者が置かれている「孤独な環境」について触れました。
大内田: 「今回の開催目的は大きく2つあります。1つは『横のつながり』を作ること、もう1つは『成功パターン』を議論することです」
日本の製造業において、マーケティング専任の部署・担当者がいるケースは、まだ多くありません。多くの場合、次の2つのパターンにあてはまるのではないでしょうか。
■広報や事業部(営業・技術)との兼務
・本業が忙しく、マーケティングは片手間になりがち。
・現場(事業部)の理解や協力を得にくく、予算も限られている。
■独立したマーケティング・DX推進部門
・スキルやノウハウが手探り状態。
・展示会やイベント運営に追われ、本来のマーケティング活動に集中できない。
このように、社内で同じ悩みを持つ相手がおらず、他社の担当者とも接点が少ない。そんな「孤独な製造業マーケター」の皆様が、同じ悩みを持つ仲間と交流し、まだ確立されていない「製造業DXの勝ちパターン」について、ともに議論する場を作りたい。それが、MEDIX ユーザー交流会の狙いです。
デジタルマーケティングへの「過度な期待」と「現実」のギャップ
続いて、製造業におけるデジタルマーケティングの浸透の度合いについて、「製造業デジタルマーケティング」というキーワードの検索トレンドと、「ハイプ・サイクル」を用いて解説しました。
大内田: 「デジタルマーケティングへの期待度は高まっていますが、現場では『必要性はわかるけれど、どうすればいいかわからない』という、もどかしさがあるのではないでしょうか」
多くの企業が「過度な期待」のピークを過ぎ、実際に取り組みを始めたことで、「思ったより、成果が出ない」「社内連携が難しい」といった現実に直面する「幻滅期」を経験しているかもしれません。しかし、この壁を乗り越えた先に、着実な成果が出る「啓発期」「生産性の安定期」が待っています。
製造業の製品選定も「デジタル」が主戦場に
一方で、「うちはニッチな業界だし、デジタルで探す人なんていないのでは?」 「展示会と既存顧客へのルート営業で十分ではないか?」そのような声が、まだ、社内で聞こえてくることがあるのではないでしょうか?実際に、製造業企業に従事されている方でも、そのような疑問をお持ちの方も少なくないかもしれません。そこで大内田は、まず「製造業に、デジタルマーケティングは本当に必要なのか?」という問いを投げかけ、メディックスが実施した「製品選定者の情報収集チャネル」に関する比較調査データを提示しました。
下の図版スライドで示されたのは、2019年と2024年の比較データでした。2019年時点では、展示会や営業担当者からの紹介といった「非デジタル(オフライン)」がまだ優勢でした。しかし、その後の4年半で状況は一変し、「デジタル」が「非デジタル」を上回り、認知のきっかけの過半数を占める結果となりました。
大内田: これは、コロナ禍を経て商習慣が変化したことも大きいですが、製造業においても『製品を知るきっかけ(認知)』の主戦場がデジタルに移ったことを明確に示しています。さらに、チャネル別の詳細を見ると、1位は「検索エンジン」、2位は「Webメディア」となっており、これまで主流だった「出入り業者に聞く」というチャネルは、その後に続いています。今や製造業においても、「まずは検索して調べる」「Webメディアで情報を得る」という行動があたり前になっており、デジタル上での接点を持てなければ、検討の土俵にすら上がれない時代になっているのです。
「検索エンジンに出稿すれば、OK」ではない理由
「検索されるなら、リスティング広告やSEOだけやっておけばいいの?」 そう思われるかもしれませんが、大内田の答えは「No」です。なぜなら、製造業の購買プロセスは非常に複雑で、検討期間が長いからです。 顧客は「課題の認知」から「比較・選定」、そして、「稟議・決裁」へと進む中で、欲しい情報が刻々と変化します。
- ●課題認知フェーズ: 「なぜ、不良品が出るのか?」といった、原因と対策を知りたい。
- ●比較・選定フェーズ: 「他社製品とのスペックの違いは?」といった、詳細な比較がしたい。
- ●稟議・決裁フェーズ: 「導入実績はあるか?」「サポート体制は?」といった、安心材料が欲しい。
大内田:顧客は、これらのフェーズを通して、検索やWeb閲覧を繰り返します。 そのため、単に「特定のキーワードで広告を出す」という「点」の施策だけでは不十分です。顧客の検討フェーズに合わせて、適切なタイミングで、適切なコンテンツを提供する、「線」のコミュニケーション設計こそが、成果を出すための鍵となります。ただ流行りの手法を導入すれば、成果が出るわけではありません。セオリーはあっても、それを自社の商流や組織にどうあてはめるか、が重要です。
Q&A対談パート:製造業マーケターの皆様から寄せられた質問への回答

今回、参加の皆様からは、事前に、製造業のマーケティングに関する質問をいただいておりました。本パートでは、講演パートに続いて、製造業グループ マネージャの大内田が回答を務めました。そして、同じく製造業グループのアカウントプランナーである田中が聞き手を務め、参加の皆様の「本音」や「現場のリアル」を代弁して深掘りする対談形式でお届けします。
▼スピーカー紹介(聞き手役)

株式会社メディックス
ビジネスマーケティングユニット
製造業向け営業グループ チーフ
田中 雄也
Q1.自社サイトに実際に流入しているキーワード以外に、対策すべき「検索ワード」が把握できません。
田中: 最初のご質問です。「自社サイトに来ているキーワード以外、つまり、世の中の潜在的なニーズが把握できない」というお悩みです。これは、非常によくいただくご相談ですね。
大内田: そうですね。「世の中のニーズ」=「顧客の情報ニーズ」と言い換えられると思います。 結論から言うと、一番、顧客のニーズを知っているのは、「営業担当者」なんです。彼らは、毎日現場に出て顧客と会話をしています。Webツールとにらめっこするよりも、営業担当者の日報を見たり、直接会話をしたりする機会を持つのが一番の近道です。
田中: おっしゃるとおりなのですが、現場のマーケティング担当の方からは、「普段、連携していない営業部門と会話するのは、心理的・物理的にハードルが高い」という声もよく聞きます。そういった「組織の壁」がある場合、どうすればいいでしょうか?
大内田: その気持ち、痛いほどわかります(笑)。改まって「ミーティングしましょう」とは言いにくいですよね。 そこで有効なのが、マーケティング(広報)と営業の間に「インサイドセールス」という部隊を挟むことです。 インサイドセールスは、リード(見込み客)と直接会話をしてニーズを確かめ、確度の高いものを営業にパスする役割です。ここに蓄積される「顧客の声」は、宝の山です。営業との直接連携が難しければ、インサイドセールスをクッションにして情報を吸い上げる、あるいは、外部のBPO(アウトソーシング)を活用してその機能を持たせる、という手が有効です。
Q2.広告運用のKPIは、「直接効果(CPA)」か、「事業成果(受注)」か?
田中: 続いては評価指標についてです。「広告の成果が見えにくい中、KPIは広告の直接効果(CPAなど)で見るべきか、その先の達成したい目標(受注など)で見るべきか」というご質問です。
大内田: 結論は、「広告と直接関連がある指標(コンバージョン数など)」をKPIにすべきですが、必ず「商談や受注との相関」を見なければいけません。 BtoB製造業は、検討期間が長いため、広告をクリックしてすぐに受注が決まるわけではありません。ですので、日々の運用はコンバージョン(資料請求など)で評価しつつ、それが最終的なKGI(受注)につながっているか、をチェックする必要があります。
田中: ただ、ニッチな製造業の場合、「元々コンバージョン数が月に数件しかなく、統計的に優位性のある分析やPDCAが回せない」というケースも多いと思います。母数が少ない場合は、どう判断すればいいでしょうか?
大内田: 数が少ない時こそ、「1コンバージョンの色(質)」を徹底的に見ることが重要です。 例えば、月5件のコンバージョンのうち、3件が営業売り込みで無効だったとしても、残り2件が「本気で導入を検討している大手メーカー」からの問い合わせなら、その施策は大成功かもしれません。 クリック数やCPAといった数字だけに終始せず、「どんな企業が、どんな動機で、問い合わせてきたか」という中身を評価軸に据えるべきです。そこから、新しいマーケティング施策やコンテンツ企画のアイデアを考えることが非常に重要です。
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(中略)
まだまだ尽きない「製造業マーケター」の悩み
製造業マーケティングのお悩み相談会の対談では、時間の許す限り、参加者の皆様から寄せられた質問への回答が続きました。 記事で紹介した以外にも、次のようなテーマについて議論が交わされました。
【製造業マーケティングのお悩み相談会で回答された、そのほかの質問と回答(一部抜粋)】
Q. 製造業の顧客は、本当にWeb検索で情報収集しているのか?
ーしています。弊社が独自に行っているアンケート結果からも、そのことが分かります。また、Web検索だけではなく、生成AI(ChatGPTなど)による情報収集が、急増している現状とその対策についても回答します。
Q. デジタルマーケティングに取り組むメリット、何のために取り組むのか?
ー課題が顕在化する前の「上流工程」から顧客へアプローチすることで、単なるスペック・価格共創にせず、よき相談役(パートナー)としての地位を築くことができる。
Q. リアル展示会の集客数や名刺の獲得数をアップするには?
ー自社製品のアピールだけではなく、業界の有識者を招いた「客寄せパンダ(集客フック)」を用意するなど、戦略的な取り組みが必要です。
Q. ホワイトペーパーやセミナーのアンケート、設問数は、いくつが適切?
ー回答率と情報の質のトレードオフをどう考えるか。データから見る「離脱される設問数」の境界線があります。
Q. メルマガの「一斉送信」で配信停止が増えてしまう。どう防げばいい?
ー広報的な一斉配信と、マーケティング的なセグメント配信の使い分けを考える必要があります。
Q. 検討期間が長い製造業において、効果的な「リードナーチャリング」の方法は?
ーリード化した瞬間だけでなく、検討タイミングを逃さないための継続的なアプローチ(コールドコール等)の重要性。
Q. 営業DXを推進するための「勘所」とは?
ーサプライヤー型(既存深耕)とメーカー型(新規開拓)、自社のビジネスモデルに合わせたデジタル活用の定義し、型にあったデジタルマーケティング施策を考えていく必要があります。
※上記の回答は、概要です。交流会では、より詳細に回答をさせていただきました。その回答内容は資料にまとまっており、本記事よりダウンロードが可能です。
全11問への詳細回答と、製造業マーケティングのお悩み相談会の投影資料を公開中
「それぞれの質問に対して、具体的にどんな回答があったのか知りたい」 「解説に使用したスライド資料を手元で見たい」そんな方のために、当日のユーザー会で使用した投影資料(全編)を無料で公開しております。 各質問への詳細な回答や、製造業マーケティングの全体像を解説したスライドなど、明日の業務に役立つヒントが詰まっています。ぜひ、ダウンロードしてご活用ください。
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製造業マーケティングに関する質問の回答付き
編集後記
「正解がない」と言われるBtoB製造業のマーケティング。だからこそ、孤独に悩むのではなく、同じ境遇の仲間や専門家と知見を共有する場の重要性を強く感じるユーザー会でした。メディックスでは、今後もこうした交流の場を設けていく予定です。
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